マーケターの戦略的な基礎力、思考力、伝える力を磨くオススメの書籍10冊!
業界のエキスパートにインタビューし、基本的な考え方・知識・スキルが身に付く本(課題図書)を紹介してきた本連載も、丸4年を迎えた。今回は、これまでの記事のなかから、マーケターに知ってほしい基礎力、思考力、伝える力に関する本を10冊、ピックアップして紹介する。年末年始にかけて、ぜひじっくり読んでみてほしい。
マーケターの基礎力を身に付けるための本
■ 『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人:著 英治出版:刊) マーケターはあらゆる情報から本質を見極めて、マーケティングの目的、戦略、戦術を立案して仕事を進めていくことが大切になる。そこで、重要な問題を見極める方法を伝授する本として、花王の辻本光貴さんがこの一冊を紹介してくださった。 辻本さん 大学時代に本書を読んで以来、本当に解くべきイシューは何かを考えるようになりました。順を追って、論理立てて解説されているのでわかりやすいです。普段の業務ではさまざまな仕事を割り当てられますが、何が問題なのかを考えてから対応するようにしています。問題を見極める力は、今の社会人に求められるスキルだと思います。 ■ 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(森岡毅:著 KADOKAWA:刊) 続いて辻本さんがオススメしてくれたのが、P&G出身者でUSJのV字回復を達成させたことで有名な森岡毅さんの本著作だ。森岡さんの著作は複数あるが、この一冊は初心者に最初に読んでほしいと辻本さん。 辻本さん マーケターの思考法として、目的に沿った戦略、戦術立案をしていくことが大切になります。それが学べる一冊なので、学生にもオススメです。マーケティングの目的がぼやけていたら、その後の戦略の組み立てがうまくいかないので、『イシューからはじめよ』と併せて読んでほしいですね。
特にB2Bマーケターに読んでほしい本
■ 『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』(波頭亮:著 産能大出版部:刊) マーケターにとって論理力は必須の力。本書は、まさに「論理的思考を身につける」ための書籍だ。普段から後輩や部下に良書をオススメしているという安藤健作さんに、B2Bマーケティングの初心者が読むべき書籍として紹介していただいた。 安藤さん B2Bビジネスでは、購入決定までに複数の意思決定者が関わるため、B2Cよりも論理的に判断がなされます。また、マーケティング部署は、会社の組織においてお金を稼ぐのではなく、お金を使う部署なので、常に投資対効果が求められます。優れたアイデアであっても、感覚だけでは承認されないのがB2Bビジネスで、論理的なアプローチで社外・社内を説得していく必要があります。 書名を見ると難しそうにみえるが、文系でも理系でも理解しやすいように書かれている。「一度読むだけでなく、参考書として何度も読んでみてほしい」と安藤さんはいう。なぜなら、「論理的思考は、筋肉と同じで、鍛えれば必ず身につく」からだ。 ■ 『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』(楠木建:著 東洋経済新報社:刊) 本書は、先ほどの『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』のあとに読んで、考えを補強してほしいという書籍だ。安藤さんは、ページ数は多いが、「この本自体がストーリー仕立てで語られているので読みやすい」と紹介してくださった。 安藤さん マーケターは、仕事を進めるためにステークホルダーを巻き込む必要がありますが、ストーリーがあると人を巻き込むことができます。人を巻き込める人は、論理的思考に基づいて引き込める話ができる人です。本書を読めば、人を巻き込めるストーリーとは何かということがわかるはずです。 ■ 『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』(垣内勇威:著 日本実業出版社:刊) こちらは、有効なB2Bマーケティングの実践法を学ぶ本だ。WACULの代表である垣内勇威さんが執筆した本書。マーケターがすべきことが明快に書かれている一冊だ。 安藤さん 「マーケターが忙しいのは、やらなくていい仕事をしているから。まずはやるべきことに注力して80点を目指そう」という本書の主張に共感しました。本書には、現在行うべきは何か、大切にすべき仕事は何かが書かれて、何度も読んでいる本です。