脳科学者がおしえる「育児で怒らない脳」を作る4つの習慣
ママ友や夫などと雑談をしよう
「雑談」と言うと、時間つぶしにするものと思われがちなのは、もったいないことです。誰かとともに笑ったり共感したり、ときには泣いたりすることで、脳内では、幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。 そして、雑談をしているとき、脳はたくさんの回路を使っています。何を話そうか考える。相手の反応を見る。相手の話を聞く。その話を受けて、自分が話すことを考える。話しながら、また何かを思い出す......。短い時間であっても、脳のさまざまな回路が使われています。たかが雑談ですが、脳を活性化させているのです。 脳のあらゆる回路を使う習慣が身についてくると、イライラしても怒りの回路がつくられるのがブロックされ、脳が怒りにハックされることも少なくなります。1日にほんの数分でいいから「雑談タイム」を設けて、なるべく多くの人と共感するようにしたいものです。
できるだけきれいな言葉を使おう
日頃から「おい」とか「バカ」といった乱暴な言葉や、「やっておけ」「早くしろ」といった命令形の言葉を使っていると、イライラしたりカーッとなったりしたときに、無意識にそういう言葉が出てくるようになり、それが思考や行動、価値観にも反映されてしまいます。 また、乱暴な言葉を使うと、相手の脳が不快になり、ミラーシステム(他人の考えを読み、共感するしくみ)が作用して、こちらも不快になってきます。攻撃性を加速させるノルアドレナリンが分泌され、トラブルに発展しがちです。 一方で、相手も自分も楽しくなるような、脳を「快」にする言葉をふだんから使っていれば、それが思考や行動、価値観に反映されます。どちらがいいのかは、言うまでもありません。「怒らない脳」にするために、どんな状況になっても、きれいな言葉だけが無意識に出るくらいに徹底してみましょう。
他人の幸せや成功を心から祝福しよう
あなたが、たまたま結婚式を終えたばかりのカップルに遭遇したとします。「おめでとう。お幸せに!」と声をかけたあなたは、きっと幸せな気分に包まれるはずです。それは、ミラーシステムが作用して、あなたの脳が「快」になったからです。 見知らぬ2人から「幸せのおすそ分け」をもらったのです。あなた自身がどういう状態であれ、うまくいっている人を自分のことのように祝福しましょう。あなたの脳は「怒らない脳」に変わり、何かしらのおすそ分けも、もらえるでしょう。
茂木健一郎(脳科学者)