天井知らずのマンション価格高騰、もはや庶民には手が届かない。買っているのは誰なのか
相続の問題も見逃してはなりません。大量相続時代を迎えて、世田谷区、杉並区、中野区、大田区などにある瀟洒(しょうしゃ)な住宅街では喫緊の課題です。今、これらのエリアに住む世帯主の多くに、相続が発生しつつあるのです。戦後、高度成長期に東京に来て一定の資産を形成した人たちが、人生からの退場を始めているからです。 日本ではこれからも大量の富裕層が誕生することになります。相続した富裕層2世は金融資産や不動産を運用・活用して膨らませ、それを子供に相続させます。そうした富裕層3世も次々と登場し始めているのです。
■地方のタワマンは誰が買っているのか? 日本各地にタワマンが続々と建てられています。増え続ける地方タワマンの買い手は誰なのでしょうか。 販売業者によれば、地方タワマンの購入層は主に3つの客層があるそうです。 第1は、地元の高齢者層です。高齢化が進む地方都市では、郊外の住宅地から都市中心部に人口が回帰する現象が起こっています。これは「コンパクト化現象」と呼ばれるもので、現役の時に郊外に戸建ての家を買い求めた層が、高齢になって車の運転が不自由になり、交通利便性の高い中心部で、管理の楽なマンションに積極的に居を移しているのです。
地方タワマンは、その地域で販売されている他のマンションよりも分譲価格が高い傾向にあるため、高齢者層は割安な低層部を購入するケースが多いようです。彼らにとっては見慣れた景観を楽しむというより、都市中心部に住む利便性を重視しているのです。 ■多拠点居住や地域の名士であることの象徴として 第2は、首都圏や近畿圏に住む人たちです。最近、2拠点居住および多拠点居住を実践する人たちが増えています。ただ、戸建て住宅は家の管理が大変なので、地方タワマンを買い、週末居住やリモートワークに活用しているのです。
大都市圏のマンションに比べれば価格は割安なため、数年後に売却して利益を得ようと考える目論見もあります。彼らはある程度見晴らしが良ければ、マンションを起点としてエリア全体を楽しみたいので、手頃な価格の中層部を買い求める傾向があります。 また中層部には、地元で生まれ育ち、主に第3次産業の職を得た人が東京や大阪に転出することなく、親とは同居せずに利便性の高いマンションを選んで居住しているケースもあります。