スマホ全盛時代のカメラ展示会「CP+」が開幕、カギ握る女性やファミリー層
カメラと映像機器の総合展示会「CP+(シーピープラス)2017」が23日から横浜市のパシフィコ横浜で始まった。一般社団法人、カメラ映像機器工業会(CIPA)が主催するもので、今年で8回目となる。121の企業・団体が参加し、約7万人の来場を見込んでいる今回の特徴は、従来のカメラファンや、写真ファンに加えてこれまでこの種のイベントに足を運ぶことが少なかった女性や小さな子供のいるファミリー層などもターゲットにしている点だ。
背景にはスマートフォン全盛の今、コンパクトデジタルカメラやレンズ交換式のカメラの販売減少が続いてきた一方で、写真に興味のある人は増えているというトレンド変化がある。スマホのアプリ「インスタグラム」などによるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への写真投稿ブームが広がり、「SNS映え」する写真を撮りたいという強いニーズがあるためだ。このため今回のCP+もそうした動きを意識し、展示やイベント内容の幅を広げている。 広い会場を歩くと、目を引くのは、やはり女性などが関心を持ちそうなフォトブックなどのコーナーである。一冊からでも簡単にフォトブックが作れる「マイブック」というサービスを提供するアスカネットの展示には幅広い年齢層の女性が集まり、サンプル品を手にする様子が見られた。ある来場者は「仲間でフォトブックを作ろうと思っているので、内容やディスプレイの仕方を参考にしています」と語る。
最近、各方面でその有用性を注目されている小型無人機「ドローン」を使って映像を撮影する実演も行われ、ここには多くの男性客が集まっていた。カメラの高級機種に比べれば比較的安い金額でドローンが購入できるという事情もあり、ドローンを使った撮影に挑戦してみたいというカメラファンも増えているという。
一方、伝統あるカメラメーカーも存在感を発揮している。1917年、当時の「日本光学工業」の創立から2017年で100年を迎えるニコンは、ブースに100年の歩みをたどる専用コーナーを設けた。ニコンの歴史を築いてきた製品の一部も展示しており、企業と技術の進歩を表現している。 キヤノンは、1987年3月に初号機「EOS 650」が交換レンズとともに誕生して以来、17年3月で30周年となる。世界初の「完全電子マウント方式」を採用した新世代のオートフォーカス(AF)カメラとして注目された当時は大きな話題になった。特別コーナーでは、EOSシステムの歩みを時代ごとの主要機種とともに振り返っている。
CP+実行委員会の折原直人さんは「スマホで写真をとる機会が増え、世の中に流通する写真の量は爆発的に拡大しています。一方で、SNSにセンスのいい写真を載せるために、いいカメラを買って写真を撮りたいという消費者の感性の変化もあります。スマホと敵対するのではなく、スマホと一緒に使ってもらうカメラにしようという方向に業界の意識も変化してきました」と話す。 CP+は26日まで。25日、26日には当日先着順などで参加可能なイベントもある。入場料は税込み1500円だが、ウェブでの事前登録で無料になる。 (3Nアソシエイツ)