出し惜しまないトヨタとオールジャパン 寺師副社長インタビュー(3)
寺師:まだこれから10年ぐらいありますので、プリウスもどんどん良くしていきますけど、2030年ぐらいまではたぶんHVが主力になって、そのあと徐々にPHVに移っていきます。「HVは賞味期限切れ、もう古いよ」って、使えないっていう言われ方もしてますけど、THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)のHVとPHVって基本技術は一緒です。これから先10年間HVの技術進化をちゃんとやっておけば、PHVでまた活かせるんです。PHVになった途端にもうHVの何倍も燃費が良くなるので、2030年を越えたら今度はPHVが間違いなく一番効果的になってくると。 池田:PHVはHVより大きなバッテリーを積んで家庭で充電できるシステムだから、例えば1カ月30日あって、20キロ以下の走行距離で済む日っていうのが例えば8割、バッテリーの電力だけではカバーできないほど遠出するのはほんの2割だとすると、8割のところはバッテリーだけで走れるでしょうと。するともうこれはほぼEVじゃないですかってことですね。スマホの電池切れにモバイルバッテリーをつなぐように、PHVでは予備のエンジンを使う。EVに充電だとその間線につながって動けなくなっちゃうから、モバイルエンジンが便利だと。システム的にはHVは電池が小盛り、PHVは並盛り、EVは大盛りで、電池容量の大きなクルマは大きいし重いし高い。そこを減らしてその分エンジンで備えると。 寺師:そうなんですよね。だからおっしゃったとおり、例えばHVなのか、PHVなのか、EVなのかっていう分け方はあまり現実的ではなくて、たぶん半分以上のお客さんが毎日走る距離は電池だけで走れちゃいますと。とすればこれはもうほぼEVなんですよね。だからEVとPHVの間に線を引くっていうのは、法規的にはなんらかの意味はあると思うんですけど、一般のお客さんからするとあまり意味がないかもしれません。電池でどれだけ走れるかっていうことなんだろうなっていう気はします。