東海大相模、「タイガー旋風」で初出場8強入り 野球、ラグビーに続いて「夢つかめるところまできている」と有馬監督【全国高校サッカー】
◇2日 第103回全国高校サッカー選手権3回戦 東北学院0―3東海大相模(Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu) 電光石火だった。開始5分。東海大相模は敵陣左サイドから主将のMF長井隆之介(3年)が絶好の左クロスを届ける。MF小林晄也(3年)が跳び上がり、頭で合わせた。待望の先制点。いつもなら一気呵成(かせい)だ。ただ、初出場の全国の舞台で白星がちらついた瞬間、「守るぞとなってしまった」と有馬監督。チームの重心が後ろに下がり、押し込まれてしまった。 思うようにパスがつながらない。東北学院の鋭い出足に腰が引け、球際の攻防で後手に回った。呼吸が合わず、ミスの山を積み上げた。リードがかすむような重く、苦しい展開。それでも、磨き続けてきたサイド攻撃だけは見失わなかった。有馬監督が「サイド攻撃が最大の強み」と言えば、長井は「サイドには武器になる選手がいっぱいいる」と呼応した。 2―0で迎えた後半31分だった。敵陣右サイド深くからMF西田蓮(3年)が右クロスを送ると、FW辻将輝(3年)が逆サイドから猛然と走ってきた。「自分のところに来ると信じていた」。トラップの直後、球の落ち際を右足でたたき込んだ。耐え、苦しみながら、スタイルを貫徹した会心の一撃だった。 初出場で8強入り。全国大会常連の野球部、ラグビー部に続けと、「夢をつかめるところまではきている」と有馬監督。国立切符を懸けた準々決勝・明秀学園日立戦に向け、長井は「満足してはいけない。これからだな、と」と言った。「タイガー旋風」は、止まらない。
中日スポーツ