【独占取材】松本潤が語る、6人のクリエイターとコラボする初の展覧会『PERSPECTIVE ─時をつなぐ眼差し─』に込めた想いとは?
──まず展覧会は暗闇の中、壁伝いに歩いて行くところから始まりますが、あの演出にはリファレンスがあるそうですね。 松本 なんだと思いますか? ──直島の「家プロジェクト」の南寺を思い出しました。 松本 まさにそうですね。南寺は安藤忠雄さんが設計した昔ながらの日本家屋のような建物の中に入ったら暗闇が広がっていて、(ジェームズ・)タレルの光の作品が体験できます。僕は友人と4人くらいで行ったんですが、それぞれ感じ方が違ったんですよね。僕はその家に暮らしたかもしれない人々の生活を想像したんですが、ひとりの友人は「自分の父親が浮かんだ」と言っていて。暗闇の空間に入れられて、五感のひとつである視覚が遮断されるだけで感覚が鋭くなり、人それぞれ違うイメージが浮かぶという体験に衝撃を受けました。この六本木のど真ん中にある場所で、まず最初にそういったことをやってみたら、どういう風に感覚が研ぎ澄まされるんだろうと思い、提案しました。最初はスタッフの方に「真っ暗にするのは厳しいです」と言われたんですが(笑)、なんとか実現できました。 ──暗闇を抜けた先に、操上和美さんの堂々としたポートレートが飛び込んできます。 松本 そうです。写真集の制作時から操上さんの作品は「ポートレート1枚だけにしたい」という気持ちがありました。操上さんも了承してくださり、「一発勝負でやろう」という話になりました。
肖像画は、実物のほうが100倍よかった
──操上さんも含めた松本さんが敬愛する6人のクリエイターの方々と一緒につくられた作品が展示されているわけですが、特に驚きや新鮮さを感じた作品というと? 松本 空間としては、岡田(准一)くんの作品の展示空間は、写真集で写真を見るのと展覧会で写真を見るのとではだいぶ印象が変わると思いました。僕自身、展示空間が完成するなかでどんどん印象が変わっていったんです。作品としての話をすると、井田(幸昌)くんに描いてもらった2枚の絵は、事前に写真では見ていましたが、実物を見たらすごくパンチがあって、油絵の具のてかりや厚みといったテクスチャーが感じられたので、「実物のほうが100倍いいな」と思いました。 ──家康を演じた姿が肖像画になるというアプローチはなかなかない経験ですよね。 松本 ないでしょうね。「自画像を描いてほしい」ということとはまた話が違いますしね。井田くんも、「松本潤を描くなら簡単だけれど、家康を演じている松本潤を描くにあたってかなり悩んだ」と言っていました。制作過程で何度か連絡をもらって、コミュニケーションを取るなかで絵の方向性が決まりました。僕自身が家康を演じていた時の気持ちは僕の中にしかありませんが、完成した絵を見ると、「こういうことを考えてたんだろうな」っていう風にいろいろと感じるものがありましたね。