資源もヒトも持続可能な農業へ…“もったいない”を活用する実験農場 松下政経塾出身の異色農家が信じる未来
■「良いところに光当ててみんなが輝く」持続可能な農業で未来を
林さんが目指す“持続可能”は、ほかにもあります。林さんやその仲間たちが育てた野菜をセットにして全国に発送しています。作業を手伝っているのが、70代から80代の高齢者です。
疲れたら休憩し、無理のないペースで、自分のできる範囲の作業を進めていきます。高齢化は急速に進んでいて、彼らの雇用を確保することは大きな課題の一つです。 スタッフの女性: 「せかせかするとみんな疲れるし、職場の雰囲気も悪くなる。あまり『これやって』『あれやって』と言うとよくないというか。皆が気付いて助け合ってという方が良いと思うので」
林さん: 「通常の仕事は、基本的には仕事に人が合わせる考え方で物事が進んでいることが多いと思うんですね。でも今、我々がやっているこの仕事や農業は、人に仕事を合わせることができるのかなと思っていて、ストレスがなく皆が活躍できる、仕事環境づくりの1つの切り口というか、ヒントではないかと思います」 資源もヒトも“持続可能”な農業へ。林さんはもっと農業に関心を持ってもらおうと月に1度、農作業の体験会を行っています。
この日は建築家やシステム開発の企業に勤める人など、普段は“畑違い”の分野で働く人たちが参加していました。農作業を通じ、自らを見つめ直すきっかけとなっています。 ソフトウェア開発会社勤務の男性(49): 「(普段の仕事では)室内でずっと同じ画面を見てやっていて、絶対体に良くないなって、多分やっている人は全員知っていると思うんですよね」 デジタル教材開発の男性(49): 「ちょっと精神的な面も含めて、こういったような土とか自然とかに触れるということは、非常に垣根を低くしていただいて参加させていただいたりとか、農業に触れるってことは非常に良い機会だなとすごく思いました」
林さん: 「食べ物を育てる機能以上に、農業には色々な価値が僕はあると感じています。ちょっと会社で疲れちゃったよ、精神的にちょっと疲れちゃって心と体のバランスが崩れちゃったよっていう方々なんかもうちの畑に来て…」 将来は、うつ病などから社会復帰を目指す人にも働く場所を提供したいと話す林さん。 林さん: 「ある1つの見方からすると、いらないものだったり役に立たないものっていう見方がある種できるかもしれないんですね。でも反対側から覗いてみたら、実はそれがものすごく役に立つ、ものすごくありがたいものだったりすることが多々あるんですよね。反対側や斜めから見てみたら、実は全然違う輝き方をする人だったり、輝き方をするものがそれぞれ力があると我々は信じていて、良いところに光をあてることによって皆が輝けるんじゃないかなと」
「持続可能な農業」を目指す、そこに未来があると信じています。