「次やったら慰謝料2000万円」夫の不倫を高額ペナルティで牽制…法的に有効?
●「配偶者が不倫した場合は離婚する」という点はどうか
──「配偶者が不倫した場合は離婚する」という点はどうでしょうか。 不倫した場合は「離婚する」という部分については、そもそも民法が不貞行為を離婚事由と定めていることから(民法770条1項1号)、今回の契約の有無にかかわらず、裁判上離婚が認められやすいです。契約書で定めたかどうかより、不倫した事実の有無が焦点になるのではないでしょうか。 なお、結婚前に夫婦間の財産帰属や離婚時の慰謝料等を取り決める婚前契約というものがあります。 今回のような結婚後の合意と異なり、婚姻中の夫婦間の契約はいつでも取り消し可能と定められている関係で(民法754条)、婚前契約の方が法的拘束力が強いといえそうです。 ただし、婚姻関係破綻後は民法754条による取り消しは制限されると考えられており、今回のケースでも、少なくとも将来の不貞発覚後に夫側から一方的に取り消すということは認められないでしょう。 いずれにせよ、今回のような契約書の作成は、離婚裁判で通常認められる慰謝料以上の金額の獲得を目的にするというよりは、夫に対し将来の不倫を心理的に抑止することを主眼におかれた方がいいでしょう。 【取材協力弁護士】 新保 英毅(しんぼ ひでたか)弁護士 新保法律事務所 2004年弁護士登録。相続・遺産分割事件、中小企業の法務の案件を多く取り扱っている。モットーは「依頼者ひとりひとりに適したオーダーメイドのサービス」。