女性初のプロ棋士へ大一番 西山朋佳女流三冠「来年1月22日」編入試験第5局 大阪・高槻
将棋で女性初のプロ棋士を目指し、西山朋佳女流三冠(29)=白玲、女王、女流王将=が挑戦する棋士編入試験5番勝負の第5局が、大阪府高槻市の関西将棋会館で来年1月22日午前10時から、指されることが決まった。これまで西山の通算成績は2勝2敗となっており、第5局が夢の実現をかけた大一番となる。(小林伸哉) 【写真】棋士編入試験5番勝負第4局で勝った後、感想戦に臨んだ西山朋佳女流三冠 将棋のプロは、性別を問わない「棋士」と女性だけの「女流棋士」があり、制度が異なる。棋士になるには、年齢制限がある棋士養成機関「奨励会」最高位の三段リーグで好成績を残すか、棋士編入試験での合格が条件となる。 これまで奨励会で三段まで昇段した女性は、福間香奈女流五冠(32)と西山、中七海女流三段(26)=神戸市出身、在住=の3人しかいない(いずれも退会)。 編入試験は、新人棋士との5番勝負で月に1局ずつ対局して、3勝すれば合格となる仕組み。現行制度の編入試験で、女性が受験するのは2022年に不合格となった福間に続いて2人目。西山が合格すれば、女性で初めてとなる。 西山は7月、直近の公式戦で「10勝以上かつ勝率6割5分以上」という受験基準を満たした。 9月の第1局で高橋佑二郎四段(25)に勝った後、10月の第2局で山川泰熙四段(26)に敗れ、11月の第3局で上野裕寿四段(21)=加古川市出身=に負け、12月17日の第4局では宮嶋健太四段(25)を破った。 西山は第3局で「実戦では、あまり指していない」という「四間飛車」を採用。敗れたものの「新しいことを試し、充実感もあった」と振り返った。第4局で勝利後は、第5局に向けて「最後は悔いのないように挑みたい」と語っている。 現行制度の棋士編入試験に挑むのは、男性も含めれば西山は5人目。過去には、2014年に今泉健司アマが3勝1敗で合格▽19~20年に折田翔吾アマが3勝1敗で合格▽22年に里見(現・福間)香奈女流五冠が0勝3敗で不合格▽22~23年に小山怜央アマが3勝1敗で合格-で、3人が合格して1人が不合格となっている(肩書はいずれも当時)。 今回の西山のように、現行制度で第5局まで棋士編入試験がもつれこむのは初めて。手番は1局目を振り駒で決め、対局ごとに先後を入れ替えていくため、西山は第5局を後手番で指す。持ち時間は各3時間。 第5局の試験官は柵木幹太四段(26)が務める。日本将棋連盟によると、西山と柵木は、奨励会の三段リーグで対戦しており、通算成績は西山の0勝5敗となっている。その後、公式戦での対局はないという。 西山は大阪府大阪狭山市出身。伊藤博文七段門下。10年、6級で奨励会入会。20年春、プロ入りの最終関門となる奨励会の三段リーグで3位となる好成績を残して、女性初の棋士へあと一歩まで迫った経験を持つ。21年4月に女流棋士に転向し、女流三段となった。23年、女流五段に昇段。通算タイトル獲得数は18期を誇り、「永世女王」「クイーン王将」の永世称号も手にしている。