夫が「定年後は両親と暮らしていた田舎に移住したい」と言っています。相続した実家はありますが、築50年ですし建て替えで「1000万円」はかかりますよね?“フルリノベーション”ならもう少し安く済むでしょうか…?
定年後、田舎に移住したいという人は増えており、地方自治体でも移住者に補助金を出すなど、積極的に受け入れているところが増えてきました。しかし、地方での住まいを確保するため、定年後に1000万円以上の大金をかけて、田舎の実家を建て替えたり、フルリノベーションをしたりするのは少し勇気がいるのではないでしょうか。 本記事では、築50年の家を建て替える場合と、フルリノベーションする場合の費用の目安について解説し、どちらを選択すべきかの判断基準についても紹介します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
建て替えやフルリノベーションにかかる費用の目安は?
まずは築50年の古い家を建て替える場合、フルリノベーションする場合にかかる費用の目安についてそれぞれ見ていきましょう。 ■建て替えにかかる費用 国土交通省の令和5年度の調査によると、戸建ての建て替えにかかる平均費用は5745万円です。高額な費用ですが、建て替える住宅のエリアや面積、設備の種類などさまざまな要因で建て替え費用は大きく変動します。この調査における平均延べ床面積は、136.3平方メートル(約41.3坪)のため、諸費用等も含めた建て替え費用の坪単価は平均約139万円となります。 不動産・住宅に関する総合情報サイトSUUMOによると、築50年の実家の建て替えにかかる費用には、図表1のようなものが挙げられています。このデータでは、建て替え費用の坪単価は60~80万円とされています。 図表1
SUUMO一戸建て(土地あり)を建て替える費用はどれくらい?坪数別シミュレーションも紹介 を基に筆者作成 SUUMOの情報を参考に、夫婦2人で住むために地方の40坪の広い古家を、25坪程度のコンパクトな平屋に建て替えた場合の費用を計算してみましょう。 古家の解体費:6万円×40坪=240万円 地盤調査:約5~30万円 新しい家の建築費:60~80万円×25坪=1500~2000万円 仮住まいの費用:家賃6万3000円×6ヶ月=約38万円 諸経費:75~100万円 以上より、築50年の家を解体して立て直す費用の目安は1858~2408万円程度となります。 ■フルリノベにかかる費用 では、築50年の家をフルリノベーションした場合の費用はどうでしょうか。リノベーションとリフォームは厳密には多少意味が異なりますが、ここではスケルトンリフォームをした時の費用について考えてみます。 フルリノベーションでは、基礎や柱などの躯体のみを残して建物を解体し、建物の大部分を新しく作り直します。通常の部分的なリフォームと違い、配線や配管のやり直し、耐震補強、断熱機能をあげる工事なども行いやすいため、完成後の見た目や住み心地は、新築との違いが分からないほどです。 費用は、どのような間取りや設備を取り入れるかによって大きく異なりますが、100平方メートル(30坪)ほどの住居の場合、1000~1500万円が目安といわれています。建て替えの場合と比べると解体費や地盤調査費、基礎や柱などをつくる費用がかからないため、安く済むことが多いでしょう。 しかし、フルリノベーションの場合には、床や壁をすべて解体してみた結果、シロアリ被害が甚大であったり、躯体が腐っていたりと予想外に傷んでいる場合もあります。このような時は、結果的に建て替えと同等の費用がかかったり、結局建て替える判断になったりという可能性もあります。 なお、フルリノベーションではなく、水回りの設備の入れ替えのみを行うなどの、通常のリフォームであれば500万円程度で済むことが多いでしょう。住宅リフォーム推進協議会の調査によると、フルリノベーションに限らないリフォーム全体の平均費用は約347万円となっています。