「斎藤知事の言動は“公開パワハラ”だ」兵庫県議会の百条委で奥山教授が鋭く指摘した全文を掲載(前編)
処分のための総務部調査がなぜ内部公益通報受けての財務部調査に先行?
あとで申し上げますが、この調査にあたって、今回の告発文書の内容が真実かどうか(真実性)、信ずるに足りる相当の理由(真実相当性)があったかどうかが、ポイントとなります。 4月4日より前にあった出来事、すなわち、前西播磨県民局長の3月の行動に関する県総務部人事課の調査と、4月4日になされた「内部公益通報」についての県財務部の調査と、その二つの調査が一時期は同時並行で進んだわけですが、その二つの調査の双方でそれぞれ、この告発文書の真実性と真実相当性について何らかの結論が出される、ということになります。この二つの調査、いずれも県としての調査という点で同じなのに、結論が違ってよいのか、という疑問が浮かびます。 このような状況で、前者、人事課の調査の結論を早々に出させて、それのみを根拠に県として前西播磨県民局長を処分するのは、問題を生じさせます。つまり、そうなると、後者の調査――「内部公益通報」についての、一定の独立性を確保し、利益相反を排除したはずであろう調査――の結果に有形無形の影響が生じる危険性が極めて大きい。 県行政としての一体性がある程度は必要でしょうから、後者の調査にあたる人たちは、先行した前者の調査結果を尊重せざるを得なくなる恐れがあります。人事課の調査の結論を先行して出すことが、公益通報者保護法などの法令によって禁止されるわけではありませんが、「内部公益通報」についての後者の調査の結果までをも、その正当性を疑わせることになるのは避けられません。 外部への「公益通報」について、県当局が敢えてその内容を調べる、というのでしたら、公益通報者保護法の趣旨に従って、その調査は「内部公益通報」に準じた扱いにするべきです。すなわち、一定の独立性を確保し、利益相反を排除するべきでした。 違法とまでは言えませんが、この点に関する県の対応は、公益通報者保護法の趣旨から逸脱しています。 続いて奧山教授は、なぜ知事らの行為が公益通報者保護法に違反しているのかをわかりやすく解説していきます。後半の全文はあす掲載します。
奥山俊宏