「身寄りのない年金18万円の90歳叔父」を仕方なく引き取った65歳姪、死後は遺産800万円をもらうはずが…納戸に捻じ込まれた「残酷な冥土の置き土産」を発見。悪魔の囁きに悶絶【CFPが解説】
相続放棄する必要はなかった…?
死後に借金の存在が発覚するという事例はよくある話です。裕美子さんは相続放棄を行いましたが、筆者が受けた相談事例で、必要のない返済をしてしまった方がいます。事例の方は、亡くなったあとに消費者金融からの借り入れの存在を知り、相続放棄ができることを知らずに遺族が借金を返済しなければならないと思い込み、返済してしまったのです。 借り入れの「時効」 そして今回のケースですと、もう30年も前に借り入れて、債権者であった共同経営者もすでに亡くなり、身寄りがないというような場合、時効になっている可能性が高いといえます。長期間に渡り債権者が催告しない、債権者も返済しないというような状態が継続すると、時効となるのです。令和2年4月に法改正され、それ以後の借り入れについては最後の取引の翌日から5年となっていますが、それ以前の借り入れについては10年が時効となります。 ですが、時効の存在を知らず、また、担当した司法書士もいつの借入なのかをよく聞かないまま手続きを進めてしまったため、せっかくの800万円の預金を相続放棄することになってしまったのでした。 間違いだらけの相続 また、裕美子さんが気にしていた叔父の認知症について。認知症の方が作成した遺言書だからといって即無効となるわけではないことは、あまり知られていないかもしれません。遺言能力があるかないか、という点が大きなポイントとなりますが、個別の判断となるため、自分で判断して結論づけるべきではありませんでした。遺言書を作成する際に借金について司法書士、弁護士などの専門家に相談していれば対処できたことでしょう。 裕美子さんに限らず、問題なのは、一人で悩むことです。特に裕美子さんの場合は聞きかじりの情報や真偽不明の情報を頼りに決断してしまいました。相続に関係する法律は複雑です。そのため、必ず専門家に状況の詳細を伝えるようにして、そのうえで選択肢を一緒に考えてもらい、どうしたらよいかを考える必要があるでしょう。
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