3歳世代だけで“122勝” 種牡馬ランキング首位独走中のキズナ産駒からシックスペンスが毎日王冠制覇
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る毎日王冠 【写真】シックスペンスのこれまでの軌跡 【Pick Up】シックスペンス:1着 キズナ産駒の3歳世代はこれで重賞7勝目。キズナは総合種牡馬ランキングで現在首位を走っていますが、その原動力となっているのは3歳世代です。この世代のJRA勝利数は1位キズナ122勝、2位エピファネイア75勝、賞金額も2位を5億5000万円ほど引き離しています。 昨年のこの時期に首位に立っていたロードカナロアは、3歳世代が駒不足というウィークポイントを抱えていたため、年末、ドゥラメンテに大逆転を許しました。3歳世代が充実していると年末にかけて賞金を上積みしやすいため、総合種牡馬ランキングはこのままキズナが逃げ切る可能性が高いのではないか、と思います。 シックスペンスは母方にダンジグを持つ、というキズナ産駒のニックスから誕生しています。このパターンは東京芝1800mで連対率45.7%と抜群の成績。単勝回収率360%、複勝回収率182%と馬券的にも妙味があります。今年2月の共同通信杯は同パターンのジャスティンミラノが4番人気で勝ちました。 母の父トワーリングキャンディは、先日、中山のカンナSを2歳レコード(芝1200m1分07秒2)で勝ったエコロジークの父でもあります。スピードがあり芝適性も問題ないので、日本向きの適性を備えています。この先わが国でもこの血を持つ馬は増えてくるでしょう。 母フィンレイズラッキーチャームはマディソンS(米G1・ダ7ハロン)の勝ち馬。トワーリングキャンディ産駒らしいスピード豊かな馬でした。血統的にシックスペンスは長距離向きではないので、菊花賞に向かわなかったのは正解でしょう。 ◆血統で振り返るサウジアラビアRC 【Pick Up】アルテヴェローチェ:1着 母クルミネイトは未勝利馬でしたが、クルミナル(桜花賞2着、オークス3着)の全姉で、ピオネロやセレシオンといった重賞入着馬が兄弟にいる良血。繁殖牝馬としては初仔から重賞勝ち馬を出しました。 「モーリス×ディープインパクト」の組み合わせは、ジェラルディーナ(エリザベス女王杯、オールカマー)、ディヴィーナ(府中牝馬S)、ルークズネスト(ファルコンS)、アルナシーム(中京記念)などと同じ。連対率21.4%、1走あたりの賞金額約261万円は、モーリス産駒全体の18.2%、198万円をそれぞれ上回ります。母方にブラッシンググルームを持っているのでディヴィーナと配合構成が似ています。 今回のサウジアラビアRCは2着タイセイカレントもモーリス産駒。モーリスは大幅に賞金を上積みし、2歳種牡馬ランキングの第3位に躍り出ました。首位キズナとの差は約1200万円とわずかなので、2歳リーディングの座も射程圏内にとらえています。