【甲子園ボウル】9年ぶりの頂上決戦へ、立命館の武器は「アニマルリッツ」と呼ばれた当時のようなオフェンス力
笛が鳴り終わるまで押し続ける意識が浸透
立命OLのスターター5人の平均サイズは身長187cm、体重123kg。日本の学生フットボールもここまできた。彼らは大きくて強いのはもちろん、速い。とくに看板となるランプレーの「アウトサイドゾーン」に出たときの5人の動きは迫力十分だ。5人がガサッと同じ方向にステップを踏み、ボコボコボコボコとブロックを決めていく。山嵜は「相手はあのプレーが来ると分かってても止められないでしょうね」と話す。 また、プレー終了の笛が鳴り終わるまで押し続ける「フィニッシュ」の意識が浸透しているから、プラスアルファのゲインも見込める。早稲田戦では森本が相手を押し続けたままエンドゾーンを出てしまい、看板にぶつかって終わったシーンがあった。「不必要な乱暴行為」の反則を取られた森本は「春の法政戦でもやってしまったんですけど、(プレーに)入りこんでて。相手には申し訳ないことをしたので、すぐ謝りました」と苦笑いで言った。さすがにこのプレーはやりすぎだったが、地の果てまで相手を押しきる思いを持ってプレーするOLがどれだけ頼もしいことか。森本は「正直、僕は甲子園ボウルでもう一度関学とやりたかったんで、できないのは悔しいというか変な気持ちなんですけど、目の前はもう法政大学なんで、しっかり準備して、関学さんの分も甲子園で暴れたいと思います」と話している。
オフェンスに90点はあげてもいい
立命館大学・高橋健太郎監督の話 「9年ぶりに甲子園へ行かせてもらえることを、本当にうれしく思っています。学生たちみんなが甲子園ボウルで勝って日本一を目指そうと頑張ってきた成果だと思ってますので、僕は本当に彼らの頑張りで甲子園ボウルへ連れて行ってもらえると考えています。オフェンスに関しては100点をあげても、いや100点はあかんな(笑)、90点はあげてもいいなと思います。リーグ戦で関大に負けて少し沈んだときもあったんですけど、いろんな経験がいまの彼らを築いてるんだと思います。僕らにも関西の意地がある。甲子園で関東対決ってのは絶対に避けたいと思っていたので、この試合に何が何でも勝とうと臨みました。ただ関大さんを破った早稲田さんでしたし、次は関学さんを倒した法政さんなんですけど、僕たちは関西学生リーグでもまれていまがあるので、彼らの思いも背負って、いい試合を甲子園でやって、僕らが勝つことで西高東低を続けたいと思います」 立命館大学RB山嵜大央キャプテンの話 「観客席を見たときに満員で、たくさんの方々に応援されてるっていうところで涙があふれ出ました。幸せなことだと思って。ファンの方々、応援してくれる方々のためにも、絶対に次も勝ちたいと思ってます。ライン戦で圧倒できれば無事に勝てるとみんなに言ってきました。ファーストシリーズでギャンブルしたんですけど、それ以外はOLが圧倒してくれた。僕らは走るだけでした。広い道が開いてましたんで。感謝してます。蓑部は弟子というよりライバルですよ。去年は弟子みたいな感じやったんですけど、今年はチームを引っ張ってくれてる存在なんで。あいつは朝から晩まで練習してるし、家に帰ってもずっとアメフト見てるし、もうフットボールしかないんです(笑)。蓑部に比べたら僕なんて普通の人間っすね。甲子園ボウルは勝てればそれでいいです。とくにランで勝ちたいというのもありません。ただ、ウチのOLは強いです。自慢のOLですね」
ウチのディフェンスが52点取られるとは
早稲田QB八木義仁の話 「相手のオフェンスが強いので点の取り合いになるとは思ってたんですけど、ウチのディフェンスが52点取られるところまで強いとは思わなかったです。法政戦で負けてからは自分がポケットパサーだってことを強く意識して、OLを信頼してポケットにとどまったら、すごくレシーバーも見えるようになったので、負けてよかったってことはないと思うんですけど、負けからすごく学べた試合で、いまならあの試合に負けたからこそ成長できたと思えます。(関西のアメフトファンに)早稲田は強いと思わせたかったです」
篠原大輔