1枚あたり320g以下! 超軽量で暖かいピークパフォーマンスのダウン「ヘリウム」
「そもそも私たちは、スキーヤーによるスキーヤーのための服を作ってきました。その信念は今も変わりません。誤解を恐れずに言うと、服作りをファッションとして考えてはいないんです。フリーライドという競技との関係性は先に述べた通りですが、現在のブランドとしての目標はフリーライドの考え方を世界に広めること。 自然との共存を前提に、自ら滑るラインを選択する自由、恐怖に打ち克つ姿勢、仲間やローカルを大切にすることなどがそれに該当します。フリーライドの土台を支える要素は、まさにブランドの屋台骨であり続けます」
ファッションアカウントを一切持たず、プロ仕様のスキーショップに絞り込んだ販売経路も松本さんの言葉の証左となる。ファッション雑誌に登場するケースさえ、極めて稀。過去には英国のアパレルブランド「ナイジェル・ケーボン」とのコラボレーション実績もあるが、それはあくまで例外的だ。 いわば“街で着ない”系、職人気質のアウトドアウエア。しかしその本質は、モダンファッションに求められる「本格さ、気持ち良さ、持続可能性、シンプルデザイン」といったキーワードと皮肉なほどに合致するのだ。 とはいえ、発祥の地スウェーデンでは多くの人がデイリーにピークパフォーマンスを纏う。スキーが一過性のファッションではなく、その地に根付くライフスタイルの一部となっているからであろう。
「スタンスを変えず、これからもピークパフォーマンスはスキーブランドであり続けます。でも、アイテムの魅力に気付き、街中で楽しんでくれるファンが増えるのはとてもうれしくありがたいこと。スキーのための服はスキーのため“だけ”の服ではありませんし、自由や自ら選択することの重要性もまた、フリーライドの精神と重なりますから」 必要以上にトレンドに寄り添わず、製作者自らがファンとなり、自ずと消費者から求められるもの。ピークパフォーマンス、そしてヘリウムは、グッドプロダクトの矜持を示し続ける。