はやぶさ2のリュウグウ観測状況を報告(全文1)表面は予想よりも水が枯渇
リュウグウの形状モデルについて
平田:はい。それではリュウグウの形状モデルについてご紹介させていただきます。われわれのグループでは探査機が撮った画像から、小惑星リュウグウの形状を推定して3次元的な形状モデルを作成するということを行っています。お見せしている資料の右側にあります映像は今回作りました形状モデルから作成したCGで、実際のカメラの画像ではなくてCGになります。こういう形状モデルができますとその副産物として、探査機がこの画像を撮ったときにどこにいたのか、あるいはどちら向きにいたのかという姿勢について高精度な推定を行うことができます。さらに、小惑星自体がどの軸を中心にして自転をしているのか。さらにその自転の周期がどれぐらいなのかということも調べることができます。 画像だけですとこの形状が分かっています。大きさを知ることが難しくなります。大きいものが遠くにあるのか、小さいものが近くにあるのかというのが区別ができないわけですね。そこで先ほど紹介もありましたレーザー高度計のデータも使って大きさを推定するということをしています。さらに画像からの形状の推定に当たっては、、2つの独立した手法を使ってそれぞれを比べることで結果の妥当性を確認したり、あるいはお互いの得意なところを併せて相互補完ということを行っています。 画像1枚からでもリュウグウの形というのはだいたい想像がつくものですけども、こういうデータの形で形状を推定するということで、画像で見えている地形などの特徴をより定量的に把握することができるようになっています。これは探査機が着陸をする際に、どこが着陸可能なのか、安全に着陸できるのはどこなのかという評価を行うための基礎情報となりますし、小惑星リュウグウそのものの成り立ちを考える上での理学的な基礎情報というものにもなります。では、次のページまいりましょう。 【連載】はやぶさ2のリュウグウ観測状況を報告 全文2へ続く