今村洋史・元衆院議員の病院、新型コロナ診療体制の補助金1・6億円を不当申請…「考え甘かった」
会計検査院は6日、新型コロナウイルスの診療体制を整備する国の交付金や補助金を巡り、不当な申請に基づく支出が21億9000万円に上ったことを明らかにした。一部の医療機関は虚偽の納品書を提出したり、患者数を水増し請求していたりした。検査院は、こうした医療機関を「補助金事業への認識が著しく欠けている」と批判し、国や自治体についても「審査が不十分だった」と指摘した。(駒崎雄大、後藤陵平)
コロナ禍では、厚生労働省や都道府県が患者を受け入れる医療機関側の申請に基づき、交付金や補助金を出して設備導入などを支援した。
検査院や関係者によると、今村洋史・元衆院議員(62)が院長を務める「いまむら病院」(愛知県一宮市)は2020~22年度、病室外にウイルスが漏れないようにする「簡易陰圧装置」を整備し、病院内の消毒を業者に委託したなどとして、国の交付金を原資とする同県の補助金を受け取った。
だが、実際には同装置は納入されておらず、検査院は「虚偽の納品書を県に提出していた」と認定。消毒についても「業者への支払額を水増ししていた」とした。検査院は国の交付金1億6000万円を不当な支出だったと結論付けた。
今村氏は12年衆院選で日本維新の会から出馬して当選し、1期務めた。6日、東京都内で記者会見した今村氏は「虚偽の納品書は業者が意図的に作成し、納入されていない機器もあった」と釈明。その上で「チェック体制に不備があった。公金に対する考え方が甘く、申し訳ない」と述べ、返還する意向を明かした。
「中野訪問クリニック」(東京都中野区)は20年度、「診療室を14室設け、164日間、毎日7時間営業していた」とする実績報告書を厚労省に提出した。この体制であれば4万5000人の患者に対応できることになり、6億1000万円の補助金を得た。ところが検査院がカルテや診療報酬明細などをもとに調べたところ、実際の対応能力は5000人程度で、同クリニックが患者数を水増し請求していたと認定した。