50kgの車椅子彼氏をおんぶして移動する彼女、”若い今だからできる”心ない声に「今しかできないことを全力でやりたい」
■「車椅子ユーザーとの暮らし、困り事や壁がどのようなものかを知ってもらえる機会になれば」
――お2人はどういった場面で、お互いの存在をより強く認識しますか? 【彼氏さん】自分は歩くことも難しく車椅子なので、物理的に困難なことに当たるときがあります。そんなときに彼女は率先して車椅子を押してくれたり、段差を上げてくれたり、上にあるものを取ってくれたりとたくさん助けてくれます。さらに、旅行に行く際などは、車椅子でも一緒に楽しめるようなプランを楽しそうに計画してくれるので、日常の中で支えられていると感じる場面がたくさんあります。 【彼女さん】私は彼に心を支えられています。辛いことがあったときや仕事の繁忙期で疲れが溜まっているときなどに、家事を変わってくれたり甘いものを買ってくれたりと些細なことから大きなことまでいろいろと支えてもらっています。あと、私は背が高く、買い物で何かを探しているときに陳列棚の下のほうを見落としてしまいます。逆に、彼は上の方を見ることができません。そういうときに上と下の担当を決めながら探せるので、探し物が見つかりやすくていいコンビだなと感じます。 ――彼氏さんは、おんぶしてくれる彼女さんの行動や背中を見て、どのようなことを感じますか? 【彼氏さん】すっごく頼りになるし安定感もあって、いつも安心して乗っかっていますし、くっつくこともできるからめちゃくちゃ嬉しいといつも思っています(笑)。あと、いつもより高い景色が見られて、おんぶされている間は彼女と一緒の目線で楽しめるので、そこも嬉しいです。 ――「彼氏の車いすを押すのは私だけ」というアカウント名にも覚悟を感じます。なぜこのアカウント名にしたのですか? 【彼女さん】インパクトのある名前にしたいと思い、遊び心半分、覚悟というよりは「私以外には押させない」みたいな独占心半分でこの名前にしました。発信していくことで、車椅子ユーザーとの暮らしがどんなものか、車椅子ユーザーの困り事や壁がどのようなものかを知ってもらえる機会になればいいなと思っています。 ――24年4月から「合理的配慮」が義務化されましたが、実際は環境の整備もままならない部分も。ご自身ができること、周囲のサポートも踏まえて、どういった考え方が必要だと感じますか? 【彼氏さん】感謝の気持ちを忘れないことが一番必要だと思います。サポートしてもらえるのが当たり前、配慮してもらえるのが当たり前なんて考えは絶対にダメだと思います。障がい者も健常者も、お互いに思いやりを持てれば、みんなが過ごしやすいバリアフリーな社会が実現できるのかなと思います。 【彼女さん】やってもらって当たり前と思わないこと、サポートを受けたらしっかりと感謝する気持ちを持つことが大切だと思います。「合理的配慮の義務化」についての動画やポストはよく見かけますが、批判的なコメントも多く見られます。「合理的配慮については対話が必要」と内閣府のリーフレットにも書いてあるため、まずは話し合うことが大切だと思います。もちろん言い方の問題はありますが、障がい者の方はなんでもかんでもやれと言っているわけではなく、こうなってくれたらいいなという気持ちもあると思うので、事業者やほかの方も否定から入らずにまずは話し合いをし、お互いの理解を深めることが必要だと思います。 ――今後はどのような関係性になっていきたいですか? 【彼氏】一生一緒に添い遂げる関係性になっていきたいです! 楽しいことや幸せなことは2人で分かち合い、壁や困難は2人で一緒に乗り越えていく。そんな未来を描いています。 【彼女】医療の研究が進み、神経の修復が可能になり、彼がもう一度歩けるようになったらそれはとても嬉しいです。治らず車椅子生活が続いたとしても、今と変わらず仲良しで、健康第一で、平和な日常を過ごしていけたらいいです。