ネットの誹謗中傷、「軽い気持ち」でも被害者の傷は軽くならない。ドラマ『しょせん他人事ですから』が伝える真理
「殺されるかもしれない」という恐怖
優希はあじぇるに家の写真を送りつけられてどう感じたと思うか? と問われても、 「嫌だと思う」としか答えられません。 あじぇるは、自宅の写真が送りつけられたときのことを振り返り、こう語ります。 「あんなの送られたらこっちはストーカーなのかな、家の前に来たのかなって思うだろ。ひょっとしたら殺害予告みたいな意味なのかなって思う」 「自分が人を傷つけたってこと何もわかってない」 あじぇるは写真が送りつけられたことで身の危険を感じ、殺されるかもしれない、というほどの恐怖を感じていたのです。また、配信はあじぇるにとって居場所で、そこが優希の荒らしによって、奪われてしまったのでした。 軽い気持ちであじぇるの配信に荒らしをした優希。一方、命の危険まで感じ、追い詰められていったあじぇる。匿名で書き込めるからこそ、相手を直接傷つけている実感がなく、自分の行動によって被害者がどんな状況に追い詰められるのか全く想像できない加害者と、生活そのものが脅かされ、全てが一変してしまう被害者との非対称性は、社会問題となっている誹謗中傷問題に共通している構図なのかもしれません。
ヒオカ