嫌がらせ?駆け引き?J1町田が浦和コーチにロングスロー時にボールを拭くタオルを“強奪”される“ひと悶着”の末に首位陥落
その上で望月に代えて、ロングスローをより得意とするだけでなく、セットプレーでも右足から精度の高いキックを放つDF鈴木準弥(28)を投入。鈴木は4度のロングスローを試みたが、エンドが変わっていた関係で浦和はタオルを回収できなかった。 そのなかで後半4分に左サイドを崩し、FWナ・サンホ(28)が放ったクロスから194cmの長身FWオ・セフン(25)が頭で同点弾を決めた。しかし、前後半を通じて17本と浦和の6本の3倍近いシュートを放ちながら決定力を欠き、逆に同42分にFWチアゴ・サンタナ(31)に勝ち越しゴールを奪われしまった。 首位に立っていたとはいえ、町田はキックオフ前の段階で、6連勝と波に乗っている広島に勝ち点で2ポイント差まで肉迫されていた。 「公式記録では17本のシュートを放っているが、なかなか1本が入らず、フリーの状況であるとか、無人のゴールに対してもゴールが入らない展開になった。プレッシャーはあるんでしょうけど、技術のなさが最後までつきまとう試合だった。矢印を向けてこの先へ進まないと、今後も似たような試合展開が続くと思う」 黒田監督は後半アディショナルタイムの53分にFWエリキ(30)がゴールを決めて、引き分けで終えた浦和戦をまずこう総括した。そのうえでFC東京を3-2で振り切り、同一シーズンにおけるクラブ新記録の7連勝をマークした広島に勝ち点55で並ばれ、得失点差で後塵を拝して2位に後退した現実を正面から受け止めている。 「かなり過酷な終盤戦に入っていくが、もう一度顔を上げて、自分たちのサッカーができるという強い気持ちを持って臨んでいきたい。多くの反省材料があるなかで、最後の最後に追いついた展開をポジティブにとらえていきたい」 開幕直後の挑戦者から追われる立場へと変わった今シーズン。5月19日の東京ヴェルディ戦を5-0で制し、首位に立ってから105日目。J1で優勝経験をもつ後続集団のなかの広島にとらえられ、ついに1位の座から陥落した。 それでも、鹿島アントラーズ時代に数々の修羅場をくぐり抜けた経験をもつ、キャプテンの元日本代表DF昌子源(31)は試合後に必死に前を向いた。 「広島さんがどこかでつまずいてくれ、と願っている間は、僕たちは絶対に上にはいけない。その意味でも、自分たちに矢印を向けていかなければいけない」 年間38試合を戦う長丁場のシーズンも残り9試合。敵地・エディオンピースウイング広島に乗り込む28日の広島との直接対決が、J2から初めて昇格したチームが即優勝する、Jリーグ史上初の快挙を狙う町田の命運を握る展開になってきた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)