今季初優勝を決めた山下（中央）は優勝トロフィーを手に、父勝臣さん（左）、母有貴さんと笑顔（撮影・浅見桂子）

＜国内女子ゴルフツアー：富士通レディース＞◇最終日◇13日◇千葉・東急セブンハンドレッドC（6697ヤード、パー72）◇賞金総額1億円（優勝1800万円）◇晴れ、25・4度、北東の風3・2メートル◇観衆3730人 【写真】母の有貴さんと歓喜の抱擁を交わす山下美夢有 　昨季まで2年連続年間女王の山下美夢有（23＝加賀電子）が、2月末に開幕した国内女子ツアー31戦目にして、ようやく今季初優勝を飾った。首位と2打差の6位から出て、8バーディー、2ボギーと6つ伸ばしてベストスコア66。首位から出た古江彩佳と通算14アンダー、202で並んだ。プレーオフ2ホール目で自身がパー、古江がボギーとし、昨季最終戦のツアー選手権リコー杯以来となる通算12勝目を挙げた。残り6戦で樋口久子、と阿玉、不動裕理に次ぐ、史上4人目の3季連続年間女王に挑む。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　ウイニングパットを決めると帽子に手を掛けて会釈した。昨年、一昨年と5度ずつ経験した優勝の味を322日ぶりにかみしめ「最高です！」と笑った。ただ優勝スピーチでは「一番近くで支えてくれた家族…。いつも本当にありがとうございます」と話し、涙が止まらなくなった。父勝臣さん（49）と並んで見ていた母有貴さん（48）も号泣。苦しい1年を象徴していた。 　11番までに7つ伸ばし、2位の古江に3打差をつけた。しかし優勝へのブランクからか、13、14番で連続ボギー。2ホールでパターで6打も要した。だが土壇場で救ってくれたのもパターだった。18番で13メートルのパーパットを決めプレーオフに持ち込んだ。今季は前週まで出場18戦で2位が7度。「2位と優勝では全然違う。自信につながる」。パリ五輪切符を争った古江との一騎打ちを執念で制した。 　来季は主戦場を米ツアーに移すため、出場権を懸けた12月の最終予選会に出場予定。母がこっそり明かした。「渋野（日向子）さんに『早くこっちに来なよ』と、（パリ五輪金の）リディア・コさん（ニュージーランド）には『私の別荘で一緒に練習しよう』と言われた」。メジャー女王2人が山下を待っている。年間女王争いは、現在今季7勝の竹田に次ぐ2位。「残り6試合、優勝を目指したい」。置き土産は3季連続年間女王だ。【高田文太】