【東京新聞杯回顧】令和に再び花咲くサクラの勝負服 サクラトゥジュールにみる堀宣行厩舎の力
持続力型を引きあげるウインカーネリアン
レースを演出したのは、連覇を狙ったウインカーネリアンだ。昨年は序盤600m34.4、前後半800m45.8-46.0、1:31.8を記録した。今年は序盤600m34.4、前後半800m46.1-46.0。自身は1:32.3で2着に粘った。東京のマイル戦でもっとも実力差がはっきりする緩急を問わない流れをつくり2着。パフォーマンスは落ちていない。 スピードと持続力を兼備し、出走馬にも同じ適性を求めるレースをつくる。好走した上位馬たちの適性を証明した。ウインカーネリアンが出走するレースは、持続力勝負になる。予想する側にとってもありがたい存在だ。昨年はドバイ、アメリカと海外を転戦し、チャレンジの年だった。今年はもうひとつタイトルが欲しいところ。東京新聞杯を見る限り衰えはなく、いまのうちにどうにかしたい。 3着ホウオウビスケッツは上位人気で逃げて大敗した中日新聞杯から距離短縮で答えを出した。評価すべきは昨年2月東京のフリージア賞。逃げて後半1000mすべて11秒台で乗り切った。この持続力を武器に次走スプリングSで2着に粘った。ダービーも16番人気で6着、タスティエーラから0.2差だった。今回はウインカーネリアンの流れで蘇った。マイルから1800mの緩急を問わない流れなら再度好走する。ただ、緩急を問う遅い流れだと凡走もあり、狙いどころを見極めよう。 1番人気マスクトディーヴァはスタートで後手を踏み、6着と力を出し切れなかった。ゲートで暴れた馬がいて、それに反応してしまった。こればかりは鞍上を責められない。まだまだ精神面に改善の可能性を残した。サクラトゥジュールのように一歩ずつ、着実にクリアしていくしかない。外を通って上がり33.2。能力は間違いない。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳