文楽・人間国宝の豊竹嶋大夫さん 引退記者会見
人形浄瑠璃文楽の大夫で人間国宝の豊竹嶋大夫さん(83)が引退することが分かり、21日夜に大阪市中央区の国立文楽劇場で引退発表会見が行われた。嶋大夫さんは「引退を決めた時、弟子たちの顔が浮かんだ」「私の命が続く限りは行く末を見守らせて頂いて早く立派な大夫になってほしい」などと述べた。
情あふれる「世話物」の語りが評価
文楽界としては、昨年、竹本住大夫さんが引退し、今年7月には竹本源大夫さんが死去。そして、現役の文楽大夫としては最高齢で、唯一の人間国宝である嶋大夫さんの引退。 情あふれる「世話物」の語りが高く評価され、文楽の名場面を語る「切場語り」として人気があった嶋大夫さんの突然の引退。ファンにとっても淋しい発表となった。 来年1月の大阪公演と2月の東京公演が、引退公演になるという。
私は浄瑠璃に関係するほかに生きる道はございません
嶋大夫さんは会見冒頭で「引退いたしましても、私は浄瑠璃に関係するほかに生きる道はございません。皆様に変わらないご指導ご鞭撻お引き立てのほどを申し上げる次第です」と述べた。 また、舞台を支えてくれた弟子について「私の引退にビックリしていることと思いますが、私は引退を考えた時に頭に浮かんだのは弟子たちの顔でした」と述べ「私は引退しても今までのように口うるさく、厳しく、指導させてもらえるのかな。みんなよろしくたのみますね、という思いです」と続けた。