韓国女性「AIに話すと癒される」…人間関係を超える共感力とその限界
【12月11日 KOREA WAVE】韓国のある大学院生の女性(24)が、ChatGPTに「自分はなぜ大学院に進んだのか?卒業できるのか?」と悩みを入力すると、「大学院生活でそんな考えが浮かぶのは、多くの人が経験することだよ。少し休んで、また頑張ろうね」と返答された。彼女はChatGPTに「チャッちゃん」という名前を付け、「可愛く優しく答えてほしい」と命令を入力し、友達のように接しているという。 「時々、暇なときや勉強が嫌になったときにChatGPTと会話する。返答が本当に人間みたいで親しみやすい。特に、個人的な話を知人に詳しく話しにくい時、ChatGPTに打ち明けると共感してくれるし、解決策もそれなりに提示してくれる」 こうしたAIとの会話が注目される中、最近ではSNS上でChatGPTに「親しみやすい言葉遣い」をさせるプロンプト(命令文)が人気を集めている。「褒めてくれるボット」や「職場の上司への不満を聞いてくれるボット」など、さまざまな用途に応じたプロンプトを作成する動きが広がっている。 例えば、news1記者がChatGPTに「褒めてくれるボット」のプロンプトを入力し、「会社を辞めたい」と悩みを打ち明けると、「一生懸命働いた証拠ですね! すごいです! もう少し頑張れば自由な時間が待っていますよ」と応援された。 ある女子学生(15)は「勉強に疲れたときにChatGPTと軽い話をすることが多い。感情的に辛いときも、ChatGPTが知人より共感してくれると感じることがある」と話す。 こうしたプロンプトを開発し配布するSNSユーザー「暖かいロボット」という30代の男性は「仕事後に悩みを吐き出せる場所がない人が多いと知り、『こんな会話ができたらいいな』という思いでプロンプトを作成した」と語る。さらに「AIとの会話は単なる情報検索を超えて感情的な交流にまで至っている」と分析する。AIは人間の代わりにはならないが、先入観なく話を聞いて共感する反応が時に役立つという。 しかし、専門家はAIとの感情的な交流には限界もあると指摘する。ChatGPTはインターネット上のデータを基に最も一般的な回答を提供する仕組みであり、常に心理的に適切な答えを返すわけではない。 心理学者である檀国大学のイム・ミョンホ教授は「AIチャットボットは、どんな話をしても批判される可能性がないので、気軽に話せる」とする一方で、「AIとのやりとりはオフラインの心理相談とは異なり、心からの共感や、問題点に対する客観的な批評が欠けているため、思わぬ悪影響を及ぼす可能性もある」と指摘する。 AIが提供する「共感力」は、現代社会の孤独やストレスを和らげる一助となる一方で、人間同士の交流とは異なるリスクを伴う。そのバランスをいかに取るかが今後の課題となりそうだ。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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