独自に進化した、バンコクのコーヒー文化とは? いま話題沸騰中のカフェとともに紹介
ウォールフラワーズカフェ
花に彩られた、美しき一杯に癒やされる 昔は漢方問屋街、現在は個性的なバーやカフェが集まるエリアとなったソイナナを代表する存在。築100年のショップハウスを美しく改装したのはオーナーで建築家のナタパット・スリヤカン。洗練されたカフェがほぼ皆無だった十数年前、いまなお高い人気を誇る名店「カーサラパン」をオープンさせバンコクのカフェシーンの礎を築いた人物だ。花屋も経営しており、ドリンク、フードのすべてにチェンマイ産オーガニック食用花が使用されているのが特徴だ。
ローリングロースターズ
螺旋階段が表象する、未来へのコーヒーの旅 吹き抜け構造による2階席へと続く螺旋階段と、インフィニティを具現化したメタリックなカウンターを配置した店内は、まるでSF小説の宇宙船さながらに近未来的だ。豆の味を堪能できるスローバー、ミクソロジーカクテルのようなアレンジコーヒー、夜はバーへと変わる空間……。「World Rolls, WeRoll」をコンセプトにした同店では、多様なニーズを昇華しながら、地球の回転同様に止まることのない“未来的なコーヒー” の旅へ連れ出してくれる。
アノニマス
コーヒーの質を際立たせる、無機質な店内 格子状に組まれたスチールの無機質感と日差しや樹木の有機的要素が絶妙に融合した心地のいい空間。「店名やオーナーの背景を消し、焦点が当たるのはコーヒーとサービスだけでいい」という強い意向から店名をアノニマス(=匿名)とした。世界中の農園からトレーサビリティが確保された豆をフェアトレードで取り寄せ、シングルオリジンにこだわり、SCA認定資格を持つバリスタがスペシャルティコーヒーを淹れる。バンコクでは類まれなる硬派なカフェだ。
パトム・オーガニック・リビング
豊かな緑に覆われた、都会のオアシス バンコクの隣、ナコンパトム県に農園をもち、タイ全土の有機農家を支援するスックジャイ財団を立ち上げ、伝統的な智慧を活かした製品を展開する「パトム」。バンコクにあるショップ& カフェは、森のように豊かに生い茂る緑の中に溶け込むように建てられたグラスハウスだ。デザインは女性2人組の建築ユニット、ニタプロウが担当。内装にはすべてナコンパトム県で出た古材が使用されている。足を踏み入れれば、ここが都心であることを忘れる癒やしの空間だ。
写真:松井聡美、西山浩平、坂本陽子 通訳:高杉美和 文:平原千波 通訳:宮島麻衣