独自に進化した、バンコクのコーヒー文化とは? いま話題沸騰中のカフェとともに紹介
いまや街のいたるところに洗練されたカフェが軒を連ねるバンコク。この10年で普及し、成長を遂げたコーヒー文化は創造的で華やかだ。ここではそんなコーヒー文化を牽引した立役者と、いま話題のカフェを紹介したい。 【写真多数】ファクトリーコーヒー ほか記事の写真をすべて見る
凝った内装、厳選された豆、熟練バリスタによる至極の一杯。個性豊かなカフェが多く存在するバンコクだが、こんな光景が定着したのはここ10年のこと。それまでは簡素な屋台で嗜む“カフェボラーン”という濃く苦く甘い、昔ながらのコーヒーが定番だった。 流れを変えたのが「ブレイブロースターズ」のエカメス‘テイ’ウィットバスティによるライトロースト。2013年当時、欧米では既に定着していた浅煎りを提案して激震をもたらし、一気にタイのカフェ文化の夜が白み始めた。 海外のバリスタコンテストに挑戦する者が増えたのも成長の一端だと「ファクトリーコーヒー」のアティップ‘マン’アーチャラートラクールは語る。「各国代表がどんなコンセプトで豆を選び、究極の一杯を淹れるのか。海外文化や豆の味を学んだことは大きい」 文化の成熟に伴い、タイのコーヒー農家でも質の高い豆が生産されるようになったこと、そして海外の稀少な豆も流通するようになったことで、スペシャルティコーヒーの味にこだわる人が増えた。一方でフルーツジュースやソーダなどを加えたフレッシュな味わいのアレンジコーヒーが人気を集めているのも興味深い。年中暑い気候と“映え”を好むタイ人の志向に合わせ、カフェシーンは独自の成長を遂げている。
ファクトリーコーヒー
世界レベルの実力をもつ、バンコク最人気カフェ 2018年の「ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ」でタイ人初の13位、22年の「ワールド・エスプレッソ・チャンピオンシップ」で準優勝と、タイ屈指の技術を誇るバリスタを多く擁する人気カフェ。タイと世界中から厳選した豆を自家焙煎し、世界レベルの確かな技術に基づき抽出。シンプルにフィルターでシングルオリジンの豆の味を楽しむのもいいが、高いバリスタ技術があってこそ成立するミクソロジーカクテルのようなアレンジコーヒーに舌を巻く。