高齢の父は株式を保有していて、配当をお小遣いにしているそうです。もしも相続になったら、株式はどのように「財産評価」されるのでしょうか?
今年から始まった新NISAで、投資デビューをしたAさん。投資歴30年以上の父親に相談したら、株式談議で盛り上がりました。 ですが、もし相続が発生したら父親の保有している株式などはどうなるのかが気になったそうです。評価の仕方などは、どうなっているのでしょうか。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
相続税の財産評価は時価で計算
相続税を計算する際には財産評価の原則は時価で、購入時の金額ではありません。相続発生時の時価が基準になります。 とはいえ、上場株式などは日々株価が乱高下する場合もあり、1日違いで評価額が大きく変わったということもあり得ます。そこで、上場株式などの相続税評価額の計算方法は下記のようになります。 (1)亡くなった日の終値 亡くなった日が休日等で終値がない場合は、その前後で最も近い日の終値。その終値が2つある場合は平均 (2)亡くなった前々月の終値の平均 (3)亡くなった前月の終値の平均 (4)亡くなった月の終値の平均 この4つの値のなかで、最も低い金額が評価額です。これは、上場している個別株式・ETF・REITなどの商品に適用されます。 債券の場合は、課税時期(亡くなった日)に中途換金した場合に受け取ることができる金額で評価します。例えば、個人向け国債の場合は以下の計算式です。 ・額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額 中途換金調整額は発行後の時期によって計算の仕方が違いますが、発行から1年半以上経過している場合は、「中途換金日の直前2回分の各利子相当額×0.79685」です。 投資信託の場合も同様に、課税時期(亡くなった日)に解約した場合に受け取ることができる金額が評価額となります。 当日における1口当たりの基準価額×口数で求められた金額から、解約した場合に源泉徴収される所得税・住民税と信託財産保留額および解約手数料を差し引いた金額です。 証券会社などに被相続人が亡くなったことを伝えて、名義変更の手続きをします。ただし、証券口座の場合は口座そのものの名義を変更するのではなく、相続人の口座に移すことになりますので、口座がない場合は新しく口座を開設する必要があります。 また、被相続がNISA口座で運用していた場合は、その口座は相続が発生した時点で終了します。相続人のNISA口座ではなく一般口座または特定口座に、相続時の時価で移管します。含み益を持つ運用商品は相続開始時点で税金は掛かりませんが、以降に受け取る配当金などには税金が掛かります。