親族は仲が良いので「遺産争い」なんて起きない気がします。そんなに心配すべきことなのでしょうか?
「親族仲が良いから遺産争いとは無縁だと思うけど、少しは心配したほうがいいの?」といった不安を持つ人もいるでしょう。今は親族仲が良くても、将来的に遺産争いが起きてしまう可能性はあります。 本記事では、遺産争いが起きるトラブル内容について解説します。また、対処法についても紹介しますので、遺産争いが心配な人は参考にしてください。
遺産争いの件数
親族仲が良いから遺産争いとは縁が遠いと感じる人もいます。しかし、裁判所の「令和4年 司法統計」によると、遺産分割等の事件数は、家事調停事件の令和4年の新受事件数12万3760件中11.6%で、1万4356件です。年間1万4356件とは家庭裁判所で取り扱われた事件のみでの件数であり、潜在的なトラブルの数はさらに多いといえます。 また、株式会社アシロが運営する「ベンナビ相続」が2023年に行った「相続トラブル調査」によると、遺産争いをしたことがある人は、相続経験者中23%との結果です。約5人に1人が相続トラブルを経験しているため、親族仲が良いから大丈夫だと思っても安心できません。
遺産争いが起きるポイント
遺産争いが起きるのは、どのような内容・相手なのでしょうか。遺産を相続する際でもめやすいのは「遺産を」「誰が」「どれくらいの割合で」相続するかを話し合う段階です。 被相続人の生前に面倒を見たか、これまで交流のなかった親戚が権利を主張してきたかなどで、遺産争いが生まれる傾向にあります。遺産争いの内容や争いの起きるポイントを知っておくことで、事前に対処するための準備をしましょう。 ■相続トラブル 株式会社アシロが運営する「ベンナビ相続」の同調査によると、遺産争いにおけるもっとも多い相続トラブルは「遺産分割」で約56%でした(複数回答)。遺産分割とは、遺産をどのように分けるかという内容です。 そのほかのトラブルとして多いものは「遺留分」で約33%、「寄与分」で約20%と続きます。遺留分や寄与分といった自分の取り分を主張しあうケースが多いと分かりました。 ■トラブル相手 相続の際にトラブルになった相手としてもっとも多かったのは、「自分(相続人)の兄弟」で約51%でした。次いで多かったのは、「被相続人の兄弟や甥姪」で約28%、「被相続人の親」で約21%です。 もともと仲が良かったとしても、いざ相続となるとトラブルが起きてしまうケースは見られます。