エルサレム首都宣言 アメリカとイスラエルの関係は? 歴史的背景は?
米とイスラエルの関係に首都宣言の影響はない
西氏 1973年の第四次中東戦争では、緒戦で苦戦したイスラエルの求めに応じ、アメリカは大量の兵器を空輸しました。アメリカは、ソ連がアラブ諸国に兵器を補給していたことと、エジプトが停戦を拒否していたことに対抗したのです。また、イスラエルが核兵器を使用する用意を示したため、アメリカが通常兵器を空輸したとの見方も根強くあります。 1982年のイスラエルのレバノン侵攻では、レーガン政権はイスラエルから、パレスチナ解放機構(PLO)を攻撃するためレバノンへ侵攻する意図を知らされていましたが、それがイスラエルとレバノンの和平につながると考えて、反対しませんでした。 Q:トランプ大統領のエルサレム首都宣言は今後のアメリカとイスラエルの関係にどのような影響を与えるでしょうか? 西氏 アメリカのハト派は、トランプ大統領が首都宣言を、イスラエルにパレスチナ側へ譲歩させるための取引材料にしなかったことを批判しています。しかし、パレスチナ和平交渉はもともと行き詰まっていたので、アメリカ・イスラエル関係に宣言自体がもたらす影響はないでしょう。 【西恭之(にし・たかゆき)】1974年6月生まれ。1996年スタンフォード大学政治学科卒業、1997年コロンビア大学大学院修士、2009年シカゴ大学大学院博士課程修了、政治学博士。国際変動研究所主任研究員を経て2012年より静岡県立大学グローバル地域センター特任助教。専門は国際安全保障論、危機管理