自由自在な「夢の照明」誕生 第二次LED革命 ~照明業界 未来予想図~
「光」の解放
日本の照明市場は、標準的な他国・地域に比べると「コモディティ化による短期・壊滅的な状況を回避し、時間的に猶予のある照明制御・ソリューション展開が可能」な市場になった。ブーム後の反動で世間の評価はやや下がりつつも、LED照明はまだ大きな伸びしろを残していたことも事実だった。それが「照明制御・ソリューション」市場であり、それを指して「これからが第二次LED革命だ」と評する建築・設計事務所の方も多くいた。その背景には、照明がLED化することにより「『光』と『制御』が解放された」ことがある。 【関連写真】光と制御の解放がLED飛躍のカギを握る 「光の解放」が指すものは何か。これは、従来であれば「光源に規定された照明器具」であったものが、その限りでなくなることを意味する。具体的には、照明器具の設計自由度が著しく向上し、光の波長や色などの変更・設定が可能になったことが挙げられる。 器具設計では、電球や蛍光灯の形を前提として筐体(きょうたい)の設計を行うことが基本だった。しかし、LED光源は非常に小型で点光源。しかも光自体は熱を帯びないという特性から、従来光源では作れなかった照明デザインが可能になった。照明器具メーカーにとっては、電源や放熱など新たな設計項目が増えつつも、自由自在にデザインできるという意味で大きな恩恵があった。 変更できなかったランプ(光源)の光も、LEDメーカーとの調整によってはるかに自由度の高い光を選択できるようになった。 設計自由度の高さは、照明製品(プロダクト)のあり方を大きく変える余地があった。そのため、LED化が加速する前から、LEDの設計自由度の高さに期待する設計者やデザイナーが多く存在していた。 しかし、日本では「従来照明のLED化」が喫緊の課題としてあった。そのため「レトロフィット」、いわゆる既存照明からの置き換えに終始するLED化が先行していた。自由度の高い照明に本格的にチャレンジするようになったのは、2010年代後半にレトロフィット需要が落ち着きを見せるようになってからだ。