欧州委、ユーロ圏経済の成長加速を予測 米国の保護主義には警鐘
Jan Strupczewski [ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は15日、ユーロ圏20カ国の経済成長率が2025年に1.3%、26年に1.6%となり、24年の0.8%から加速するとの見通しを公表した。 インフレは鈍化すると予測したものの、トランプ政権下での米国の保護主義的な貿易政策が「極めて有害」となる可能性があると警鐘を鳴らした。 来年1月20日に就任するトランプ次期米大統領は、米国に輸入される全ての品目に10%以上の関税を課す案を示している。 欧州委のジェンティローニ委員は記者会見で「EUと米国の経済統合レベルは、貿易関係が経済と政治を安定させる力となるくらいまで達している」とした上で「米国の貿易政策が保護主義に転じれば、双方の経済にとって極めて有害となる」と強調した。 ジェンティローニ氏は、影響が大きい国として対米輸出の多いドイツとイタリアを挙げ、関税の引き上げによって製造業者が直面する問題をさらに悪化させかねないと訴えた。 関税引き上げがインフレを刺激することで、米国経済にも悪影響を及ぼす可能性があるとも述べた。 欧州委は24年に2年連続でマイナス成長となると見込まれるドイツは、25年に0.7%、26年には1.3%のプラス成長を予測。フランスは25年に0.8%、26年には1.4%成長するとした。 欧州中央銀行(ECB)が中期的に2%を目指すインフレ率は、24年の2.4%から25年に2.1%、26年に1.9%へと減速していくと見込んだ。 ユーロ圏全体の財政赤字は、25年に域内総生産(GDP)の2.9%、26年に2.8%へと徐々に低下していくと予測した。