なぜ?カレンダーの土曜は青色、日曜は赤色なのか 専門家に聞くと、日本人の働き方の変化と深い関係が
仕事の日程調整のために職場にあるカレンダーを見つめていて、ふと不思議に思った。なぜ、土曜日は青色で日曜日は赤色なのか?記者(45)にとっては、こうしたカレンダーは物心つく頃から当たり前。それ故、疑問に思ったことはなかったが、気になり始めるとモヤモヤが止まらない。日本カレンダー暦文化振興協会理事長を務めるなど暦に詳しい国立民族学博物館名誉教授の中牧弘允(ひろちか)さん(77)=長野県小川村出身=にカレンダーの色について聞いた。 【写真】土曜日の色が現在とは異なる大正時代のカレンダー
土曜日が青色は日本の特徴
最初に教えてもらったことは「カレンダーの日付(数字)の色に世界標準の決まりはない」(中牧さん)ということ。ただ、多くの国では「週日は黒で、日曜日と祝日は赤が定番」。会社や学校が休みになる日曜日と祝日は、目立つ赤色で印刷して他の曜日と区別しているのだ。一方、土曜日が青色のカレンダーは他の国ではあまり見られない。土曜日が青色のカレンダーが多く出回っていることが日本の特徴という。
働き方との深い関係
なぜ日本は土曜日が青色のカレンダーが多いのか。中牧さんによると「週休2日制の定着と関係している」。1973年に第一次オイルショックが始まると、節電ムードの高まりを受けて、土曜日を休業日にする企業が増えた。すると、翌1974年版のカレンダーから、土曜日を青色で表示するものが一気に増えた。多くの人にとって土曜日が休業日となり“意味のある曜日”になったため、青色にして目立たせたのだ。その後の官公庁や学校への週休2日制の拡大とともに、「土曜日が青色」のカレンダーは日本に浸透していった。 しかし、土曜日は明治時代から「半ドン」と呼ばれ、官公庁や学校、多くの企業は午後から休みだった。それでも、戦前はカレンダーで土曜日が他の曜日と色で区別されることはほぼなかったという。中牧さんによると、土曜日が青色のカレンダーが登場したのは、カレンダー大手の「トーダン」(東京)では1961年版のアルプスカレンダーから、同じく大手の「新日本カレンダー」(大阪市)では1969年版から。この戦後の新しい流れが、オイルショックによる土曜日の休業化で一気に定着したのだ。