自動車業界の変革期〝照らす〟…ランプが急ぐ技術開発、3つのカギ
スタンレー電気 浮かぶロゴ、前面・側面「クール」に
スタンレー電気は電気自動車(EV)をターゲットにしたライティング技術でユーザーの付加価値を創造する。テーマは「スマート&クール(賢く、かつ、かっこ良く)」(遠藤雅夫執行役員)。EVのデザインでは、非点灯時は単なるガラスやボディーの一部でランプとしての存在感はないが、点灯時は何もないところが光る、といったかっこ良さを求められることが多いという。 例えば、電源を入れると車のフロント部にブランドのロゴや「Welcome」などのメッセージ、情報が浮かび上がるといった具合だ。光らせ方やどんな情報を表示したいかなどは完成車メーカーごとに異なり、差別化できるポイントとなる。スタンレー電気にとってはソフトウエアの書き換えのみで各車両に付加価値をのせることが可能で、実用化できれば成長をけん引する事業となり得る。 スタンレー電気は「スマート&クール」をテーマにEV向けライティング技術の開発に注力する 同社は国内完成車メーカーとともに、こうしたニーズに対応する技術を開発中だ。新たなライティング技術を車に採用する際は法規対応とセットとなる。遠藤執行役員は「法規対応は国を動かす話になる。サプライヤー単独で進めるのではなく、OEM(完成車メーカー)と開発段階から一緒に取り組む方が良い」と説明する。 自動運転にも商機を見いだす。「完全自動運転の時代には、もっとコミュニケーションを取らないと人は安心できない」(遠藤執行役員)。同社はライティングの範囲として車両の側面に着目。側面の一部を光らせることで車の存在を伝えたり、停止時には点灯、走行時には流れるようなライティングにしたりするなど「(デザインとしての)車のかっこ良さにもつながる」(同)として実用化に向けて開発に注力する方針だ。 スタンレー電気は25年3月期連結業績予想の売上高で過去最高を見込む。上田啓介常務は「例年、売上高の5%を研究開発費に充てる計画を立てており、25年3月期も相当の投資を実施する」と意気込む。 3社とも顧客の要求を満たすモノづくりを通じて、自動車業界における存在感を維持・向上させてきた。業界が大変革期にある今、車の付加価値を高められる技術を能動的に提案できる力も問われている。