裏切り続ける円、25年こそ反発とストラテジスト予想-金利差縮小
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストも、目先はドル高進行のリスクがあっても、25年は円高になると予想する1人だ。トランプ政権下でもFRBや他の主要中央銀行は金融緩和を進めるとし、中国を主なターゲットとするトランプ氏の関税政策も他の通貨と比較した円相場の下支え要因になると読む。
米労働省が13日に発表した10月の米消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが3カ月連続で同じ伸び率となった。過度の物価上昇が一服する中、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場ではFRBが来年1月までに追加利下げを行う可能性を8割以上織り込んでおり、今後の円の支援材料になるかもしれない。
野村証の後藤氏は、日本の通貨当局による円安けん制発言や円買い介入のリスクも今後ドルの上値を抑える可能性があると指摘する。三村淳財務官はトランプ氏が勝った米大統領選後の円安進行を受け、行き過ぎた動きに適切な対応を取ると語った。
とはいえ、来年の円高を予想するストラテジストの間でも、その道のりは平たんではないとみる向きは少なくない。トランプ氏の再登板でFRBの利下げペースを見通しにくくなったためだ。
シンガポールに拠点を置くRBCキャピタル・マーケッツのアジアFX戦略責任者、アルビン・タン氏は「米金利が徐々に低下するにつれ、円は反発するというのが基本シナリオ」だが、トランプ氏の米大統領選勝利が大きな不確定要素で、円が140円を抜けて上昇するのは難しいとみている。
日興アセットマネジメントのフィンク直美チーフ・グローバル・ストラテジストは「米経済が予想以上に加速したり、インフレ率が予想を上回ったりする可能性は残されており、その場合はイールドカーブへの利上げの織り込みが修正される」と言う。これは日米の絶対的な金利差が維持され、リスク選好の環境下でドル堅調の流れが続くことを意味するものだ。