韓国大統領「中国人のスパイ行為」非難 中国は不満表明
【AFP=時事】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(63)が中国人によるスパイ行為を非難するかのような発言をしたことを受け、中国は12日、「深い驚きと不満」を表明した。 【写真】容姿端麗な外国人スパイに注意 中国当局、学生に呼び掛け 尹氏は同日の演説で、先週韓国を政情不安に陥れた「非常戒厳」宣布と国会議事堂への軍隊派遣という衝撃的な決定について釈明し、「最後まで」闘うと表明した。 尹氏はこの演説で、中国人が韓国の軍事施設の写真や動画を撮影し、スパイ行為を試みているとみられると非難した。 これに対し、中国外務省の毛寧報道官は定例会見で「(尹氏は)根拠を示すことなく、いわゆる中国のスパイ行為を喧伝(けんでん)している」と反論。 「韓国側のこうした発言に対し、中国は深く驚き、不満を抱いている」「中韓関係の健全で安定した発展に寄与しない」と述べた。 尹氏はまた演説で、最大野党「共に民主党」がスパイ防止法の改正を妨害していると非難。現行法には「スパイ行為をした外国人を処罰するすべがない」として、中国人によるスパイ行為が疑われる2例を挙げた。 最初の例は、中国人3人が韓国南部の港湾都市・釜山でドローンを飛ばし、米軍の空母を動画撮影していたところを拘束されたもので、所持していた電子機器には軍事施設の写真も含まれていた。 もう一つの事例では、中国からソウルを訪れた40代の男性が、韓国国家情報院(国情院)に「直行し」、ドローンを使って動画を撮影したとされる。いずれの事例についてもそれ以上の詳細は明らかにされなかった。 出国を禁止されている尹氏は「国家的危機」を引き起こしたのは野党だと主張し、「最後の瞬間まで国民と共に闘う」と表明。非常戒厳の宣布で国民を「驚かせ、不安にさせた」ことを改めて謝罪した。 韓国では尹氏の辞任を求めるデモが続き、14日には2回目の弾劾訴追案の採決が予定されている。 毛報道官は「韓国側が国内問題を中国関連の要素と結びつけることに断固反対する」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News