安室奈美恵「Hero」、嵐「Winter days」…ヒットメーカーの音楽プロデューサー・今井了介が“フードテック”分野に飛び込んだきっかけとは?
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。今回の放送は、音楽プロデューサーの今井了介(いまい・りょうすけ)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
◆音楽プロデューサーとは別の顔が…
安室奈美恵さんの「Hero」や嵐の「Winter days」のほか、YUKIさんやMINMIさん、EXILEなど、これまで数多くのアーティストに楽曲を提供してきた今井さん。現在は、音楽の枠を飛び越えて、“フードテック(FoodTech)”の分野にも取り組んでいます。 フードテックとは、「Food」と「Technology」を掛け合わせた造語で、テクノロジーを駆使して食に関する問題の解決、さらには、技術を活用して食の可能性を広げていくビジネスモデルのことで、音楽を生業としていた今井さんがこの分野に乗り出したきっかけは、東日本大震災でした。 「真っ先に衣食住の支援が必要なときに、我々のようなエンタメに従事する者が目の前でどんなに熱演をしても、お腹はいっぱいにならないし、体は温まらない。まず(被災した)彼らにとって必要なことは生きていくこと、食べていくこと。特に私は食に非常に興味があったのと、パソコンや機械を使って打ち込みを作る趣味・趣向性もあったので、フードテックで何か社会課題の解決につながるような自分ならではのサービスやプラットフォームを作れるのではないか、と思ったのがきっかけでした」と振り返ります。 そんな思いから、今井さんが最初にローンチしたサービスが「ごちめし」です。これは、飲食店のメニューをお食事券でプレゼント・ギフトできるというもの。 数千万円を投じてこの仕組みを作り、2019年末にローンチしたものの、たった数ヵ月でコロナ禍に。そんなピンチを新たなアイデアで切り抜けたのが、外出自粛で窮地に陥っていた飲食店を支援するべく立ち上げたサービス「さきめし」でした。 これは、“先払い”で飲食店のチケット(食券)を購入して、コロナが収束したあとに食べに行くというもので、先に走り出していた「ごちめし」のサービスの仕組みを利用して運営しています。 このアイデアを思いついたのは、「(ごちめしで)食事をプレゼントするとどういう消費行動が起きるかというと、決済をしている時点で飲食店は売り上げが上がるわけです。お金が発生するタイミングと来客のタイミングがもともと時間にギャップのあるサービスだったので、これは上手く活用しようじゃないかということで、コロナ禍で自分が応援したい飲食店に『さきめし』で支払って、あとで食べに行く。(飲食店を)支援したいという気持ちと、うちのお店を応援してほしいという飲食店のマッチングが起きてバズりまして、(登録する店舗は)一瞬で1万店舗くらいになりました」と今井さん。 「ごちめし」に続いて生まれた「さきめし」のサービスをきっかけに、「僕たちのビジネスベースになる飲食店の加盟店舗を増やすという行為が結果的に自然と進むことが起きた感じです」とこれまでの流れを説明すると、宇賀は「すごいですね、アイデアが。逆手に取るという……」と感心の声をあげます。 小山も「(「ごちめし」で)プレゼントをいただいて、食べたあとにおいしかったら、これをまた誰かにゴチしたくなる……というふうになると、つながっていきますよね」とうなずきます。 今井さんは「デジタルプラットフォームなので、恩送りが見える化してつながっていって、循環して、さらに広がって……というところまですべてデジタルでトラッキングできると、恩送りの社会を可視化してさらに広げていくという価値観が生まれるといいな、というのが我々のサービスのゴールであり世界観です」と力を込めます。