安室奈美恵「Hero」、嵐「Winter days」…ヒットメーカーの音楽プロデューサー・今井了介が“フードテック”分野に飛び込んだきっかけとは?
◆次なるチャレンジは「音楽業界への還元」
そして、今井さんは「ごちめし」と「さきめし」の運営に留まらず、昨年新たな活動をスタートさせました。それは、地域の飲食店を“こども食堂化”し、こどもの居場所とまちの未来を育む新サービス「こどもごちめし」です。 今井さんは、「僕らには(「ごちめし」や「さきめし」を通じて)飲食店ネットワークがまずある。そもそもこども食堂って、皆さんご存知だと思うんですけど、心あるボランティアの方が基本的に善意でやっている。でも、あれを続けていくのは結構な難しさがある」と説明。 今井さんいわく、資金や人員の問題、食中毒のリスクなどもあって、こども食堂を毎日開催することは困難で、多くて週1か2週間に1回で、ほとんどのこども食堂が月1回開催でやっているところが多いと言います。 そのほかにも、「(こども食堂に)来た親御さん、こどもが本当に困窮家庭のこどもなのかどうかは、運営者には絶対に分からないというのが1つ。それからもう1つ、逆に(こども食堂を)使う側のこどもや親御さんは、自分の家が困窮と向き合っている家庭であることは(周囲に)知られたくないっていうのがあり、実は必要な人ほど(こども食堂に)行くことに対してバリアができてしまう」と、こども食堂が抱える課題点を挙げます。 そうした課題を解決するべく、「僕らは企業から支援金を募って、自治体さんからはふるさと納税や補助金を募って1つの基金にして、スマホに登録してもらった親御さんやこどもが飲食店にスマホを持ってピッとやると、1,000円以内のお食事が無償で食べられますよ、というのを『こどもごちめし』でやっています」と紹介。 「これのいいところは、PayPayとかで払っているのと見分けがつかないので、こどもや親御さんのプライバシーも配慮できているし、飲食店を選んで行けばいいだけなので、月1とかのこども食堂を待たずに行きたいときに行ける」とメリットを語ると、小山からは「ありそうでなかったですよね!」と感嘆の声が。 こうした活動の原動力について、今井さん「ありそうでなかったことを探すのが大好きなので。新規性が高いことをやるのは楽しいけど本当に大変で……国を口説きに行ったり、議員会館に呼ばれてはいろんな陳情をしたりとか、いろいろ大変なんですけど、その先には楽しさしかなくて。チャレンジする面白さは圧倒的にありますね」と熱弁します。 小山から「次に、やりたいことはあるんですか?」との質問に、今井さんの答えは、音楽業界への還元。 「『ごちめし』は、つまりはプラットフォームビジネスなんですね。一方で、僕は音楽家として30年くらいお仕事をしてきて、いま、既存のいろいろな音楽配信サイトって著作者への分配があまりに低いんです。ですから、こういったプラットフォームビジネスを学んだ私が、若手の音楽家たちが“もう1回音楽をやりたいんだ!”と奮起できるような、新しい分配システムとか。例えばスマホのアプリはバージョンの改良が出たり、書籍も初版で間違ったあとに直せたりするじゃないですか。音楽って直さないんですよ。これは世界中の作家が同じことを思ってくれると思うんですけど、『あそこ、もうちょっとああしたかったな』って絶対にあるんです。そういう自分の曲をアップデートしながら、過去のアーカイブも残せるみたいなことができるようなサービスを作りたいな、と。音楽家である自分の気持ちをプラットフォームに乗せたようなことが最後にできるといいなと思っています」と話していました。 (TOKYO FM「日本郵便 SUNDAY’S POST」放送より)