新静岡県立図書館、完成遅れ 28年8月以降 入札不調、設計一部変更も
静岡県教委は13日の県議会文教警察委員会で、JR東静岡駅南口の県有地に整備する新県立中央図書館の建築工事が入札不調となったことを受け、2025年夏に再入札を実施する方針を示した。着工の延期期間に資材価格の高騰が見込まれるため、同駅から直結するデッキを取りやめるなど設計を一部変更し、全体事業費の増額を抑える。完成は当初の28年1月から同年8月以降にずれ込む見込み。開館も同年夏とする現行のスケジュールから遅れが生じる。 建築工事は年内に仮契約するよう入札を行ったが参加業者がなく、新図書館整備課が大手ゼネコンなどに聞き取りを行って参加の可能性が高くなる来年8月ごろに再入札を計画した。同課は数カ月の期間を設けて業者が着手日を選択できる工事方式の導入や、公告から開札までの十分な準備期間の確保、総合評価方式の見直しといった参加条件の緩和―など新たな対策も検討している。業者が着手日選択方式を採用した場合、日程によっては開館時期が29年になる可能性がある。 試算では物価高騰の影響で再入札までに事業費が17億円ほど増額することが分かったため、同駅から図書館3階を結ぶ高架型の歩行通路「ペデストリアンデッキ」の設置を廃止する。委員からは「鉄道利用者にとってはデッキは非常に魅力的だ」と再考を促す意見も上がった。 新図書館の基本設計は鉄骨造り9階建て、延べ床面積約2万平方メートル、収蔵可能数は約200万冊。計画当初は開館時期の目標を26年度、概算事業費を180億円と想定した。その後、県産木材利用量を拡充する方針が決まって開館時期を延ばし総事業費を192億円に修正したが、資材高騰などの影響で298億円に増額した経緯がある。
静岡新聞社