トランプ完勝! もしトラが現実になって自動車業界はどう変わる?
民主党政権下でも粛々と進んでいた新貿易協定USMCA
米国大統領選挙はトランプさんの圧勝。不思議なことに日本のメディアは連日のハリスさん推し報道でしたが、誰か指示でも出していたんですかね? ホントにニュートラルな判断材料を提供してくれるメディアが少なくなりました。もはやテレビも新聞もいらんがな状態。 この記事の他の画像を見る
で、政権交代後の自動車業界への影響ですが、ココで再浮上してきたのがイリーガルな移民問題をはじめとするメキシコとの軋轢です。しかし、私見ながら結論からいうと何も変わらないと思います。なぜか?
振り返ればNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉が始まったのは2017年8月16日でした。交渉開始から約1年。メキシコとは2018年8月27日、カナダとは同年9月30日に再合意に至ります。NAFTAあらため新名称はUSMCA(米国、メキシコ、カナダ協定)。以降、粛々と新たなルール作りが進んでいきます。
USMCA最大の特徴、そのハードルの高さは62.5%から75%に引き上げられた「RVC」(域内原産比率)という問題です。ややこしいのでザックリいうと、クルマを作る際の鉄鋼やアルミ、エンジンや電池などの主要部品は域内で調達せよ! というルールなのです。料理に例えれば調味料以外は地産地消という感じでしょうか。
厄介なのは内部部品の一部が海外製でアッセンブリーは域内で……というパターンの場合、どう計算したらルールに適合できるのかなど、その仕組みが複雑なところです。さらにメキシコの場合、労働者の「賃金条例」(最終的に時給16ドルに引き上げる)が絡むので大問題。
USMCAの原産地規則の解釈はUSTR(米通商代表部)から正式にお達しが出ていて、途中割愛しますが、最終期限は2025年ということになっています。つまりタイミング的にトランプ新政権発足とUSMCAの厳格な施行・運用が重なることになるのです。
JETRO(日本貿易振興機構)の地域・分析レポートによれば、2023年のメキシコの完成車生産数はコロナ禍前の水準に回復し377万9234台を記録(大型トラックやバスを除く)。このうち、330万876台が輸出車両でさらに細かくいうと、米国向けが77.4%、カナダ向けが8%という内訳であり、北米市場という枠で見れば輸出数全体の85.4%を占めることになります。