コロナ禍で人生をあきらめていたライターが、なぜ政治家・小川淳也に会いに行き、何を聞いたのか?
まずい!と思っても、そう簡単に次の仕事なんてみつからない。もうダメだ、もう生きていけない……と思いつつ、ふと周りを見回すと、コロナ禍でみんな生きるのが大変になっていた。「あれ? みんな苦しいんじゃん? 私だけじゃない、みんな絶望してるんだ」。そう気づいたら、なんだかちょっとうれしくなった。何なら「へん、ざま見ろ!」とさえ思ったんですよね。 安田:わかりますよ。 和田:他人の家の前で自転車がひっくり返ってたり、家の中が混乱してる様子がわかると「苦しいのは私だけじゃない、みんな大変なんだ」。だからもうちょっと生きててもいいかもな、と思ったころに出会ったのが小川さんだったんです。本当にタイミングの妙ですね。その小川さんが「あきらめたくない」と繰り返し言った。ライターとして「あ、この人の言葉、すごく面白いな」と。 安田:僕もそれは感じました。「あきらめそうになるけど、いや、まだあきらめない!」っていう言葉。響きましたね。 和田:文庫版にも加筆しましたけど、3年ぶりの対談で、私と小川さん、対立しちゃったんです。ブランクの間も演説を取材に行ったりLINEを出したり、つながりはあったんですけど、いざ席についたら「あなたの言葉には傷ついた」って小川さん、ガーッと怒って。 そのとき私、言ったんです。「小川さんは言いたいことをばんばん言うけれど、私は本当に言いたいことなんてすぐには言葉にできないんですよ! 5分ぐらいしてから『ああ、ああ言えばよかった』って、後から思うんです! あなたみたいにうまいこと言えないんですっ!」って。そしたら小川さん「いや、俺もそうだわ」って。ありゃ、あんたもそうなのかい……と(笑)。 安田:原発とか安全保障問題とか、おふたりは常に意気投合してるわけではないですよね。和田さんは常に懐疑的だし、モヤモヤしたら「モヤモヤしてます!」って臆せず伝えてる。小川さんも一生懸命言葉を費やして答えをみつけようとしてる。