コロナ禍で人生をあきらめていたライターが、なぜ政治家・小川淳也に会いに行き、何を聞いたのか?
「政治に関心はあれど、まったくわかっていなかった」。音楽ライター・和田靜香さんが、衆議院議員・小川淳也氏(立憲民主党)に対話を挑む。その軌跡を編んだ『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(2021年9月に単行本として左右社より出版)が、特別編『戦争を起こさないために あれから3年』を加筆して文庫化! 政局が波乱づくめの今こそ考えたい、暮らしと政治、民主主義とは? 著者・和田靜香さんとノンフィクションライター・安田浩一さんとのスペシャル対談の第2弾をお届けする。 * * * ■初めに用意したのは「政治記者が絶対にしない質問」 安田:和田さんが小川さんと対談するにあたって最初に用意した質問、僕大好きなんですよ! ・政治家には友達がいますか? ・政治家は威張りますか? ・政治家は金持ちですか? …… 和田:あはははは! だって、いざとなったら何を聞けばいいかわからなかったんですよ! 安田:僕はね、こういう素朴な質問が、大真面目に大人の口から出るってことは、すごく高度に政治的だなと思ったんですよ。 和田:え? そうですか? 安田:これぞ本質だと。だって誰もが思ってるわけじゃないですか。政治家ってお金持ちだろうな、とか、威張ってるよな、とか。でも「政治家って、そもそも何だ?」っていうのは、実はみんな、よくわかってないと思う。戦闘機1機が百億円するのは「当然だろう」っていうのと同じように「政治家なんてそんなもんだ」と思ってる。でもそこをあえて聞く。「政治家は金持ちですか?」。これ、政治部の記者は聞かないですよ(笑)。 和田:そうですね。まず聞かないと思います(笑) 安田:でも、それこそが原点なんじゃないかと。面と向かって「あなた威張ってます?」って口に出すかどうかはともかく、和田さんは常にそういうスタンスから疑問をぶつけてる。 素人だからって政治家先生に「ご意見を拝聴します」っていう態度じゃ、この本は書けなかった。沼津の田舎から出てきた和田靜香という女性が、どういう思いでこの東京で暮らし、どんな経験をし、時に屈辱を味わったりしながら、今も不安の中にいる。それを直球で投げかける。すごく距離感は近いのに、なれ合うことなく緊張感を持ち続けている感じも心地いい。和田さんも小川さんも、一切手抜きをしていないからこそ面白いんです。