「総菜に頼ったっていい」──“完璧を目指す”俳優・速水もこみちが料理を続ける理由
幅広い視聴者層から支持される番組の中にあって、マジョラムやコブミカンの葉、五香粉など、それまで一般的になじみのなかった食材や料理も、臆することなく次々と登場させた。 「僕は1から10までちゃんと自分でレシピを書きあげてます。『そんなの作れない』とか『もっとわかりやすい料理のほうがいい』という声もあるかもしれないけど、世界には、日本にはないような面白い食材がたくさんあるじゃないですか。生きてる以上、知っとかないともったいないなぁ、って。『こんな料理もあるんですよ』って、みんなとシェアしたいし、つねに新しい発見を探しているんです」
総菜に頼っていい
速水が平日毎朝、テレビでキッチンに立ち続けた影響は少なからずあるだろう。スタート当時は「“イケメン”なのに料理が得意なんて」と、ある種の驚きと目新しさを伴い、茶の間に受け止められていたその料理姿は、今となってはごく自然な、日常の風景となった。毎朝子どもの弁当を作る人、土日にちょっと凝った料理を作る人、「料理は夫のほうが得意だから」と、調理全般を担当する人もいるだろう。 その一方で、SNSでは「ポテトサラダを買おうとしたら、知らないおじさんに『母親ならそれくらい作れ』と言われた」「夫から『冷凍ギョーザは手抜き』と言われた」といったツイートが話題となり、まだまだ「料理は女性がするもの」「手抜き料理は悪」といった固定観念が根強いのも確かだ。そんな声に対して、速水は「家庭の事情はそれぞれあると思いますので、あまり首を突っ込むところではないかもしれませんが」と断りながらも、こう諭す。 「総菜に頼ったって、いいじゃないですか。彼女自身のリズムもあるわけで、その総菜にちょい足しをしてるかもしれないし。それはそれで彼女の気持ちのこもった作品にはなってると思うんで。料理を作らない人も、作る人のことをもっと理解してあげないとダメなんじゃないかな」
つねに完璧を求めていたい
番組卒業から2年。速水はホームグラウンドである俳優業での活動を加速させている。2020年1月期『この男は人生最大の過ちです』(ABC系)で10年ぶりとなる連ドラ主演を務め、2021年1月期『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』(テレビ東京系)、同年4月公開映画『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』には本人役で出演。同年4月期『結婚できないにはワケがある。』(ABC系)では再び主演を務めている。若くして課長を務めるハイスペックな“超エリート”ながら、実は「人形愛好者」というクセのある役どころだ。ドラマでは若月佑美演じる婚約者をそっちのけで、人形の「みちゅこ」を溺愛する富澤光央役を演じている。