18年間特大弁当を作り続けて亜希が気づいた、母親は「言うまで待とう、ホトトギス」
母親は「言うまで待とう、ホトトギス」
――息子さんに感想は訊きましたか。 訊きません。訊かないようになりました。 弁当箱が空になっていれば、それが返事。男の子に、無駄に質問するのは卒業しました。 かつてはしつこいくらい訊いていた時期もあったんです。今考えると、うざかったんじゃないかな。 子どもって、本当に言いたいことがあれば、自分から言ってくるものなんだって、後で気づきました。先に訊いちゃうと、聞きたいことの半分くらいしか返ってこない。 「どうだった?」「おいしかった?」「うまくいった?」なんて畳みかけちゃうと、うんで終わっちゃう。 「うん」なんて聞きたくないですよね(笑)。 でもいっぱい訊けば、「うん」しかいえなくなっちゃう。 そんなことを繰り返して、母親は「言うまで待とう、ホトトギス」なんだと気づきました。 息子の良さを引き出してあげられないとしたら、私の息子への圧のかけ方が原因だった。息子との会話が、通り一遍、なんでこんなつまらない返しになっちゃうのかって考えてみたら、私の問いかけのせいだったんですよね。 それで引き出す力は待つことなのかなって気が付いたんです。 弁当だけじゃなくて、いろいろな悩みだったりも一緒。いかに待てるか。 ただ何もしないわけじゃない。アンテナをどこまで張り巡らすかも大事ですね。 普段と違うなって気づいても、すぐに口には出さない。我慢、我慢。静かに見守って、大事なタイミングで言葉にするとかね。 なんてカッコいいこと言ってますけど、昔はどばどばっていくタイプだったんです。 玄関入った瞬間から、「今日どうだった」「打ったの?」「点入った?」……。 その果ての今です。 ――何かきっかけがあったのでしょうか。 うちはふたり兄弟。男の子ふたりだったので、同じように育てようとしていました。 あたり前のことなのに、兄弟でも全然性格が違う。男だから女だから、そんなどの子も一緒、みたいな子育てはダメだなって気が付いてから、その子に合った会話の仕方を考えるようになりました。 子育てって、「してあげている」ようで、実は親の方も成長させられている。 よく言われる言葉ですが、実感しました。