18年間特大弁当を作り続けて亜希が気づいた、母親は「言うまで待とう、ホトトギス」
「弁当の写真で人生が振り返れる」
――今回の『亜希の「ふたが閉まるのか?」弁当』の本ができて中を開いた時、どんな感想を持ちましたか。 生きてきた証がここにある、と思いました。 「あとがき」にすべての想いを書き込んだので、ぜひ読んでいただけたらと思いますが、そこに一行 「なんか【命懸け】って言葉が、大げさかもしれないけど、今しっくりきてる」と書いています。 本の最初にインスタにあげた弁当記録をずらりと載せてるんですが、このページが大好きで。自分でも「本当によく作ってきたなあ」って思います。 こんな風に1冊にまとめてくださりもちろん感謝でいっぱいなのですが、まるで私と家族の命の積み重ねのようにも思えて。 というのは、こうやって作ってきたものを並べてみてみると、ここまでの人生の答え合わせができたりするんです。 これ作った頃はここの家に住んでいたんだっけとか、この時期はけっこうしんどかったなあとか、あれ~、このお弁当って、家を出ちゃった時のやつだ、とか。 文字で書き記しているわけではないので、私にしかわからないんですけど、ただただ並んだお弁当の写真を見返すことで自分の人生が振り返れる。 その時々の想い出がよみがえって来て、胸が詰まることもある。 お弁当の中に物語が詰まっているし、お弁当を通して記憶もしっかり残るものなんだなあと思いました。 今は私も元気だし、忙しい子どもたちにとっても、通り過ぎてきた弁当の記録でしかないかもしれない。でもいつか、もっとずっと先に、例えば私が天国に行った後でもいいから、これを見て「うちのお母さんって、こうだったなあ」と思い返してもらえるものになってくれたらいいなあと思います。 ――「ふたが閉まるのか?」なんてユニークなタイトルはどうやって考えたのでしょう。 私がインスタグラムにあげるときに、ハッシュタグで「#ふたが閉まるのか?」ってつけたのが最初だったと思います。 お弁当の蓋をぎゅっと閉めると、ご飯もつぶれちゃうけど、つぶれちゃっていいんです。 つぶすさまがかわいいんです。 どんどん盛りたくなっちゃう。お弁当って、すき間をいかに詰めていくか、じゃないですか。 なので、詰めていると、どんどん詰めたくなっちゃうっていうか。 もうちょっと食べてほしいとか、もう少しあったほうがいいかなと思うと、もうちょっともうちょっとって、つい盛り込み過ぎちゃうんですよね。 他の人から見たら、美しいとはいえないかもしれないけど、私から見ると、『これが美しい』って思える。それが全てなのかな。 人がどう思うかより、これがおいしそう、かわいいと思えれば、私はこれでいいと思います。