スマートフォーツー EV プロトタイプは「新しい驚きとドキドキ感」でいっぱいだった【10年ひと昔の新車】
市街地から高速道路までフォーツーとは思えない重厚さ
さて、実走行での航続距離は100kmぐらいだと考えた。とりあえず、昼間に都内で片道7kmほどの距離を行って帰ってきてみるが、その走りっぷりは快適。ライトもエアコンも使用しない状況だったこともあり、バッテリー容量は5%ぐらいの減少であった。 次に高速道路を主体とした片道40kmほどの道のりを、夜間に走ってみた。なお最高速度は100km/hでリミッターが効く設定である。この日は快晴で最高気温が22度ほど、夜になっても18℃くらいの心地良さで、エアコンもヒーターも使用する必要はなかった。 一般道から料金所に入り、料金を支払って高速道路に合流する。ここはフルアクセル。難なく合流に成功して、あとは走行車線の流れに乗って80km/h近辺でクルーズする。その走りっぷりには安定感があり、直進性も良い。ただし、アクセルペダルをオフにしたときには回生制御が入るので、一定速度を保とうとすると、下り坂でもアクセルペダルを軽く踏んでいる必要があった。こんな時には、回生制御を解除するスイッチが欲しくなる。 順調に走って目的地に到着。バッテリー残量は75%ぐらいで、充電しようとして自分の浅はかさに気がついた。 家庭用の100Vコンセントに専用の充電ケーブルを差し込めばいいと思っていたのだが、差込プラグはアース極付きの三端子型。対してコンセントは一般的な二極型。変換アダプターを使用すればいいかとも思ったのだが、車両側で充電電源のアースが取れているかどうかを判断していて、取れていない場合は充電が中止されるとのことで、充電することはあきらめた。 ただ、往路でバッテリー容量の減少具合がわかっていたので、復路では走行速度を少し上げてみた。加速にやや時間はかかるものの、メーター読みの100km/hで問題なく走行できることを確認して(ただしバッテリー容量の減少度合は相当に早くなる)、エアコンも使用してみたりしながら、再び40kmほどの距離を走行。到着時のバッテリー容量は約50%で、今度は事前に調べておいた充電用のAC200Vコンセントを備えたコインパーキングに駐車して充電開始。約5時間後に確認すると、すでにフル充電済みだった。 スマート電気自動車で3日間、約170kmほどを走行したが、充電設備の設置場所と充電時間を取れるプランで乗るのなら、実にしっかりとした使い勝手を備えていることが体感できた。ただし先月に少しだけ運転できたSLS AMGよりも、その新しい価値観ゆえに、ドキドキして緊張感を覚えつつドライブしたのも事実である。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:永元秀和)
スマート フォーツー エレクトリックドライブ プロトタイプ 主要諸元
●全長×全幅×全高:2695×1559×1542mm ●ホイールベース:1867mm ●車両重量:970kg ●パワーユニット:モーター ●モーター最高出力:30kW(41ps) ●モーター最大トルク:120Nm ●バッテリー:リチウムイオン(テスラ製) ●駆動方式:RWD ●タイヤサイズ:F:155/60R15、R:175/55R15 ※EU準拠
Webモーターマガジン