光宗薫がイギリスで撮影したフォトブックを発売「マクドナルドでハンバーガーを買っただけで、『私、イギリスで生きてる! スゴい!』って思えるんです(笑)」
■来年のトピックは画集発売とクッキー作り? ――最近の光宗さんについても聞かせてください。2013年の初個展「スーパー劣等生」から昨年で10年。すっかり画家・アーティストのイメージです。 光宗 ありがとうございます。先ほど、要領も覚え......と話しましたが、絵に関しては別の感覚。新しい描き方や発表の仕方に挑戦するなど、年々、工夫を続けているつもりです。それも、画家としての活動が続けられているからこそ、できること。ありがたいです。 ――ここ10年で、絵を描く気持ちに変化は? 光宗 画家として活動を始めた頃は、「ちゃんと描けます」と技術を見せたい思いが先行していた気がします。絵に関しては独学でしたからね。ただ、活動を続けるうちに、少しずつ技術を見せたい欲求が減り、素直に描きたい絵が描けるようになってきました。 ――それは技術を認めてもらえた実感がどこかであったから? 光宗 『プレバト!!』(MBS/TBS系)の存在も大きいです。査定企画など、技術を評価してもらえる場所ができたことで、個展や自身の制作に関しては、好きな気持ちだけで向き合えるようになりました。それに昔は、内側に抱え込んでいる思いを絵にすることが多かったのですが、今や気持ちを吐くための行為ではなく、より自然な距離感に絵がある感覚です。 ――というと? 光宗 画家として活動を始める前、芸能一本で活動していた頃の私は、ひとつの仕事で自分の良いところを全部見せようとしていました。「周りによく思われたい」「ちゃんとしている自分を見せたい」と、頑張りすぎてはバランスを崩してばかり。100か0かでしか、物事を考えられなかったんです。 それが、画家としての活動を続けてきたことで、ようやく肩の力を抜いて芸能活動を楽しめるようになった気がするんです。日常生活もラクになりました。絵がないと生きられない、というと大袈裟ですが、絵があるおかげで生きやすくなっているのは確かです。 ――なるほど。今、スゴく調子が良いのが伝わってきます。来年もいい年になるといいですね。 光宗 来年は、夏にグループ展に参加するほか、年末に画集の発売と、それに伴った個展を開催。さらに再来年は、画集を軸に巡回展をする予定です。今、絶賛制作期間中なのですが、どんなふうに来年末を迎えられるんだろうって。今からとても楽しみです。それから、最近クッキー作りにもハマっていて......。 ――クッキーですか? そういえば、インスタグラムによくクッキーの写真があがっているのを見かけます。 光宗 実は、最近まで自分でクッキーを焼いたことが一度もなかったんです。ずっとやりたいと思っていたのですが、ついに手を出してしまいました。これも新しい挑戦ですね。画集の締め切りを考えるとクッキーなんて焼いている暇はないはずなんですけど、今や絵を描く合間にクッキー型を調べては、何月にどんなクッキーを作ろうか? とスケジュールを立てるのが楽しくて仕方がない(笑)。 ――とにかく"作ること"に夢中だと。 光宗 生地を混ぜたり、伸ばしたり、型を抜いたり、焼いたり。どの工程も楽しいです。何というか、異世界を冒険しているような感覚になれるんですよね。ただ、たくさん作っても食べ切れないので、頻繁には作れないのが現状。月に2回が限界です。 ――それもまた、"絵のおかげで日常生活がラクになった"ことが関係しているんですかね? 光宗 だと思います。他のことにも夢中になれるってスゴく健康的だと思いません? ダイエット中に、つい甘いものを食べてしまうとか。そういう自然発生的な欲求って、とても大事だと思うんです。絵を描き続けてきたことで、そうした心の余裕が生まれた。スケジュール的には相変わらず余裕はないんですけど(笑)。でも、色んなことを楽しめている今の自分がとても好きです。 ■光宗薫(みつむね・かおる)1993年生まれ、大阪府出身。2011年頃より独学で絵を描き始める。11年12月、AKB48の研究生としてデビュー、翌年10月活動終了。2024年は自身5度目の個展となる「むかしむかし」が銀座のヴァニラ画廊にて開催。芥川龍之介の短編『蜘蛛の糸』から着想を得たという水彩画などを展示。大盛況の末、閉幕した。公式X【@mtmnkor】公式Instagram【@mtmnkor】 ■光宗薫2ndフォトブック『ATIKA』 価格/2,400円+税タレント、アーティストとして活躍する光宗薫の2ndフォトブック思い出の地、イギリスで撮り下ろしたこれまでに無いカット満載の作品。2024年12月15日発売。 取材・文/とり 撮影/まくらあさみ