【詳報】岡山女児虐待死 母親に懲役10年 地裁判決「厳しい非難に値する」
岡山市で2022年1月、虐待を受けた当時6歳の女児が死亡した事件で、逮捕監禁致死、強要罪に問われた母親の被告(36)の裁判員裁判で、岡山地裁は11日「女児を唯一守ることができたのに、虐待を繰り返す当時の交際相手に対して不干渉を決め込んだ。到底許されず厳しい非難に値する」として求刑通り懲役10年の判決を言い渡した。 公判では交際相手だった受刑者(41)=両罪などで懲役14年確定=との共謀の成否が最大の争点だった。判決は被告が受刑者と意思を通じ合い、一連の犯行の実現に重要な役割を担ったとして共謀を認定。「犯行を容易にしたほう助罪にとどまる」とする弁護側の主張は退けた。弁護側は即日控訴した。 本村暁宏裁判長は判決理由で、被告が受刑者に「しつけという名の虐待」を期待し容認した上で、女児の素行の悪さを報告し続けたと指摘。椅子の上に長時間立たせるなど強要事件のきっかけになったとした。逮捕監禁致死事件についても「しつけだとして受刑者と意思を通じ合い、制止したり助けたりしなかった」と述べた。 弁護側はカメラによる監視などで心理的に支配され、虐待の制止は不可能だったと主張。これに対し本村裁判長は「被告自身は受刑者から身体的な暴力を受けたことはなく、反抗ができない精神状態だったとする事情は見当たらない」と退けた。 量刑では女児の心情に触れ「守ってくれるはずの母親すら助けの手を差し伸べてくれない状況で、終わりの見えない虐待にさらされ続けた。絶望は察するに余りある」と非難。「自らも受刑者によるドメスティックバイオレンス(DV)の被害者であるという発言に終始し、反省は不十分。犯した罪と十分に向き合う時間が必要だ」とした。 判決によると、受刑者と共謀し21年9月、岡山市北区の自宅で、女児を鍋の中に何時間も立たせ、手指を自分で口の中に入れて嘔吐(おうと)するよう強要。布団を巻き付けて押し入れに約1時間半放置し、約4カ月後に低酸素脳症で死亡させた。