変わりゆく10年を見つめたカメラ 「吞ん兵衛横丁」と「育つ双子の命」 【東日本大震災13年の“あれから”】
■笑顔を守る第一歩 「頑張っている姿を…」
かさ上げされた場所に出来た新しい街。街を望む高台に立った大祐さんは「ガレキからこうなって、早いというか10年経った」と話した後、「建つのは建った」「空き地はどうなるのやら」と話しました。 内金﨑大祐さん 「うちの子どもたちは震災の年に生まれた“震災チルドレン”。俺らに出来ることはお店を長くやっていけるように、 がんばっている姿を見せてあげたいな。それが笑顔を守る第一歩」 「(街の活気は)まだもまだもまだ。活気をつくっていかなければ」 内金﨑さん夫婦は店の周辺に広がる空き地に不安を覚えながら、子どもたちの笑顔を守ろうと一日一日を懸命に生きています。
(※2021年3月3日にテレビ岩手の「ニュースプラス1いわて」で放送されたものを再編集しました)
【取材したテレビ岩手・三浦裕紀記者 2024年3月に思うこと】
「ここ同じ場所?」「間違っていないよね?」カメラマンと何度も繰り返した会話。1年が経つと同じ場所と思えない程に被災地の景色は変わりました。 テレビ岩手は、東日本大震災直後から50か所以上の場所で定点撮影を続けています。撮影ポイントは、崖の端や生い茂った木をかき分けていくような危険な場所が多く、撮り終えると難しい冒険を終えた後に近い達成感がありました。津波でがれきに覆われた街は、更地になり、かさ上げされ、多くの場所で震災から7年が経った頃から建物が建ち始めました。 その映像に加え、住む人に話を聞き、街と心の移り変わりを伝えたこの企画。震災から10年は、震災の年に生まれた双子がいる自転車店、名物飲み屋街で居酒屋を営む女性、変化する街で自動車の運転を教えてきた男性、カメラで被災地を撮影し続けた写真店店主を取材しました。 変化する街の景色や音だけでも、不思議とそこに住む人の苦しみや乗り越えた努力まで感じます。10年が過ぎた後、目に見える変化は少なくなりましたが、被災地は復興のゴールを切ったわけではありません。変わらないものや目に見えない変化を伝えていくためにも定点撮影はこれからも続けていきます。