「ノーマスクで飛行機乗れます」JALは了承していたはずなのに、なぜ強制的に降ろされた? 納得いかない弁護士「この3年の異常な『空気』を今こそ考えてほしい」
予約時にJALが了承したのに、なぜ降りないといけないのか。桜井さんは納得できず、一度は「絶対に嫌です」と降機を拒否。すると、空港責任者と名乗る男性が警察官を3人連れて現れ、再び降機を命じられた。 「このままでは業務妨害罪や不退去罪で不当逮捕されかねない」と恐れ、飛行機を降りた。 ターミナルビルに戻った桜井さんに対し、警察官は「暴れたら問題になるからね」と言った。空港責任者からは「態度が悪かったと聞いている」と言われたが、次の言葉に耳を疑った。「会話をしないと約束すればマスクを着用しなくてもいいことになっている」 桜井さんは「さっき、CAには『あなたに話しかけられなければ、一言もしゃべりません』と答えました」と反論した。会話せざるを得なかったのは、CAが何度も問いかけてきたからだ。しかし、空港責任者は何も返事をしなかったという。 途方に暮れた桜井さんだったが、屋久島発鹿児島行き、さらに鹿児島発羽田行きの便にそれぞれ空席を見つけ、どうにか帰宅できたという。「どちらの便もノーマスクだったが、CAや地上係員から声を掛けられることは一切なく、なんのトラブルもなかった」。降機を巡るあの騒動は、一体なんだったのか。
▽JALの見解は… 降機後、桜井さんはなぜこうなったのかと考えたが、疑問は尽きなかった。CAが「正当な理由が確認できない」と判断した理由は何だったのか。JALからJACには何も引き継がれていなかったということなのか。さらに言えば、降機を強制する根拠は何だったのか。 JALはどう答えるのか。取材を申し込んだが、「頂戴したご質問はいずれも訴訟係属中なのでお答えいたしかねます。どうかご了承ください」との回答だった。 一方で、JALのマスク着用ルールの根拠を一般論として尋ねると、こんな答えが返ってきた。「日本政府が発信している基本的対処方針およびそれに紐づく定期航空協会のガイドラインにのっとっております」 JALを含め協会加盟航空会社は2020年5月29日以降、このガイドラインに沿い、マスク着用強化対応を実施した。ガイドラインを読むと、「ワクチン接種後も引き続き、マスク着用をお願いいたします」と求め、「スタッフが事情を伺っても意図的な無視・沈黙がなされ、適切な対応を取ることができない」場合には、「搭乗をお断りする」とも記載している。